他のトレーダーがFX相場についてどのように考えているか確認したい場合は、ポジション比率を見ることをおすすめします。とはいえ、どのように見れば良いか、トレードへの活用方法についてよく分からない人もいるでしょう。
本記事では、ポジション比率の見方や見る方法、トレードで活用する際の注意点を紹介します。テクニカル分析やファンダメンタル分析以外にも売買判断の方法を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
ポジション比率とは、通貨ペアごとの保有中の買いポジションと売りポジションの比率のことです。
ポジション比率を見ることで、買っているトレーダーと売っているトレーダーのどちらが多いか、強気派と弱気派の割合について知ることができます。
ポジション比率と似た言葉にオーダー比率や売買比率がありますが、それぞれの違いをまとめると以下の通りです。
ポジション比率 | 保有中(未決済)ポジションの比率 |
オーダー比率 | 約定していない予約注文(指値注文と逆指値注文)の買いと売りの分布 |
売買比率 | 特定の時間の注文の資金と決済別の比率 |
ポジション比率は、保有しているポジションの比率を表していますが、オーダー比率は、新規でまだ約定していない注文の分布を指します。
ポジション比率はトレーダーが保有しているポジションが基準となりますが、売買比率は、売買注文の数が基準となります。また、より短期的な推移を表すため、スキャルピングやデイトレードをするなら売買比率も確認しましょう。
FXのトレードでポジション比率を見てトレードする場合は、オーダー比率や売買比率も見ることで予測精度を高めることができます。
ポジション比率を見なくても取引は可能です。しかし、チャート分析では精度が上がらないと感じている人は、以下の2つの理由からポジション比率を活用しましょう。
それぞれの理由について詳しく解説します。
ポジション比率を確認すると、個人投資家の考えを予測しやすくなります。仮に売りポジションよりも買いポジションのほうが多い場合で考えてみましょう。
まず、買いポジションに大きく偏っている場合は、いずれそれらのポジションが決済されてトレンドが転換する可能性があります。
なぜなら、買いポジションの決済は、売り注文を出していることと同じことになるからです。
一方、買いポジションの量が売りポジションよりも多いとはいえ、まだまだ両者の差が広がり始めたばかりの段階では、上昇トレンドが進行していく可能性があります。
というのも、売っていた人がポジションを決済すれば、新規の買い注文とともに上昇圧力が強くなっていく可能性があるからです。
このようにポジション比率には、個人投資家の考えが反映されるため、相場の動きを予測しやすくなります。
ポジション比率を見るべきもう一つの理由は、個人投資家の逆張り思考を活用するためです。
一般的に個人投資家は順張りよりも逆張りを好む傾向があります。例えば、上昇トレンド中に相場の流れに沿って素直に買う人よりも「これまで充分上昇してきたからそろそろ下落するだろう」と考えて相場の流れとは逆方向の注文をしようとするのです。
資金量がものをいうFXの世界では、大半の個人投資家は継続的に利益を出せないと言われています。
したがって、個人投資家の考えを逆手に取って、比率が少ないほうのポジションを保有すれば多くの利益を得られる可能性があります。
この章では、ポジション比率の見方について簡単に解説します。
以下は、FXGTのトレーダーズインサイトで公開されているポジション比率です。
青色のLong Positionsは買い、薄い緑色のShort Positionsは売りを表しています。ユーロポンド(EURGBP)のポジション比率を見ると、90%以上のトレーダーが買いのポジションを持っていることが分かります。
一方で、一番下に表示されているドル円(USDJPY)は売りが6割を超えていて優勢である点が分かるでしょう。
このようにポジション比率は、シンプルな見た目のため、初心者でも簡単に買いと売りのどちらのポジションを保有している人が多いかを確認できます。
ポジション比率を確認する方法は、主に2つの方法があります。
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
1つ目の方法は、IMM通貨先物ポジションです。IMM通貨先物ポジションとは、米国のシカゴマーカンタイル取引所(CME)に上場するIMM通貨先物のポジションの動向を表したものです。
全米先物取引委員会(CFTC)は、毎週火曜日の取引終了後に各取引所から集めた商品先物の建玉枚数を毎週金曜日の午後3時30分(米国東部時間)に公式サイトで公表します。
IMM通貨先物ポジションでは、Non-Commercialと呼ばれるヘッジファンドなど投機筋の数値を見ることができます。
しかし、大口のヘッジファンドなどは手口の公開を避けるために通貨先物を利用しないと言われているので、ヘッジファンドの動向が100%反映されているわけではありません。
また、更新頻度が週1回しかなく、公開されるころには、データが古くなっているため、スキャルピングやデイトレードに活用するのは難しいでしょう。
なお、IMM通貨先物ポジションについては全米先物取引委員会の公式サイトだけでなく、一部FX業者の公式サイトでも見ることができます。
2つ目の方法は、FX業者の公式サイトで公開されているポジション比率を確認する方法です。
各FX業者は自社で取引するトレーダーのポジション比率を高い頻度で更新しています。
一部のFX業者は、パソコンだけでなくスマホからポジション比率を確認できるので、外出先からでも利用しやすいです。
ただし、口座を持っている人しか利用できないFX業者も多くあります。加えて、各FX業者のトレーダーのみのポジション比率しか分からないので、為替相場全体のポジション比率と結果が全く異なることもあるでしょう。
なお、海外FX業者のFXGTでは、口座を持っていない人も含めて、トレーダーズインサイトからポジション比率を確認できます。
加えて、各銘柄のポジション比率や未決済ポジションにおける各銘柄の保有率といった情報も確認できます。
データも3時間ごとに更新されているので、デイトレーダーやスイングトレーダーならトレードに活用可能です。
ログイン不要で誰でも利用できますので、トレーダーズインサイトからポジション比率を確認してみてください。
ポジション比率をFXのトレードに活用する際は、以下の点に注意しましょう。
各注意点について解説します。
ポジション比率の多数派がいつも正しいわけではありません。いつかはポジションを手放すために決済する必要があるのに加えて、相場の状況は刻々と変化しているため、どちらかのポジションに大きく偏っている場合は反転する可能性があります。
したがって、比率の高い売買方向のポジションを保有しても逆に損失を被ることがあります。
個人投資家のほとんどは長期的に利益を出せないので、逆張りしてポジションを持つことも検討しましょう。
FX業者が公開しているポジション比率のデータは、そのFX業者で取引しているトレーダーのみが対象となるため、市場全体の動向を表しているわけではありません。
当然ながら、FX業者によって公開されているポジション比率の数値は変わります。
トレードで活用する際は、少しでもサンプル数を増やして予測精度を上げるために、なるべく複数のFX業者のポジション比率を確認しましょう。
ポジション比率のデータは、各FX業者によって精度が大きく異なる可能性があります。
というのも、それぞれのFX業者はポジション比率を算出するにあたって、更新頻度、データの正確性、トレーダーの数といった情報を詳しく公開していません。
よってドル円のポジション比率が買いは70%、売りは30%であっても、トレーダーの人数が10万人いるFX業者と1,000人しかいないFX業者ではデータの信憑性も大きく変わります。
ポジション比率をトレードに活用する際は、このことを踏まえて分析しましょう。
ポジション比率だけを見てトレードをしても利益を出せない可能性が高いです。したがって、テクニカル分析やファンダメンタル分析など他の分析方法との併用を推奨します。
例えば、ポジション比率を見て買いの割合が著しく多い場合、反転下落を狙うためにMACDやRSIといったオシレーター系指標のシグナルもあわせて確認すると良いでしょう。
オシレーター系指標は、相場の買われすぎ・売られすぎを表します。MACDやRSIでも買われすぎのシグナルが出現した場合は、上昇トレンドが転換する可能性が高くなります。
ポジション比率は個人投資家や投機家の相場への考えを可視化できる分析方法です。
ポジション比率を見ることができれば、個人投資家の考えとは逆のポジションを保有して利益を狙いやすくなります。とはいえ、ポジション比率単体では予想精度が悪いため、MACDやRSIなどオシレーター指標と併用して使うようにしましょう。
FXGTでは、トレーダーズインサイトで3時間毎のポジション比率を確認できます。また、最大レバレッジ1,000倍で取引ができて、ボーナスキャンペーンも豊富にあるため、資金の少ない状態から多くの利益を狙うことができます。ぜひ、この機会に口座開設してみてください。