海外FX業者で自動売買をする際にはVPSを用意する必要があります。とはいえ、VPSが必要な理由やどのVPSを利用すれば良いか分からない人もいるのではないでしょうか?
本記事では、VPSの仕組みや海外FXに自動売買で必要な理由、おすすめのVPSを紹介します。これからMT4やMT5でEAを使って自動売買をする予定がある人は、ぜひ参考にしてください。
VPS(Virtual Private Server)とは、仮想化技術により1台の物理サーバー上に複数台の仮想的なサーバーを構築して、ユーザーがそれぞれOSを専有して使用できるサーバーのことです。
日本語では、仮想専用サーバーと呼ばれています。
共用サーバーとは異なり、各ユーザー毎にOSが用意されているため、基本的に他の人が利用した影響で急に動作が重くなったり障害が発生したりする心配がありません。
VPSを契約する場合、ご自身でVPS会社と契約する方法とFX業者が提供するVPSを無料・有料で使う2つのパターンがあります。
項目 | 国内のVPS | 海外のVPS |
日本語対応 | あり | なし |
サーバーのある場所 | 日本 | 海外 |
通信速度 | 国内FXなら国内のVPS会社が速い | 海外FXならの海外のVPS会社が速い |
国内のVPSは大阪や東京など日本にあるため、国内FX業者での取引をするなら、こちらを選んだほうが通信速度が速くなります。
しかし、海外FX業者を利用する場合、国内のVPSでは通信距離が離れすぎていて通信速度が遅くなる恐れがあるので注意しましょう。
海外のVPSなら海外FX業者のサーバーと通信距離が近くなることが多いため、通信速度の向上を見込めます。
海外FX業者で快適な通信速度で取引するなら海外のVPSがおすすめです。
海外FXでEAによる自動売買をする場合は、以下の理由によりVPSの契約が必要です。
詳しい理由について順番に見ていきましょう。
パソコンの電源を落としたり、EAが入っているMT4やMT5を閉じたりすると、EAの稼働が停止します。
そうなると、EAを稼働させるためにパソコンを24時間付けっぱなしにする必要がありますが、故障のリスクが高くなるのでおすすめしません。
しかし、VPSであればパソコンの電源を落としても問題なくEAを稼働し続けることができます。なぜなら、VPSのサーバーは自宅のパソコンとは別の場所で動いているからです。
自動売買をする場合は、VPSの利用をおすすめします。
日本は地震・台風などの災害や突然の停電が起きやすい国です。パソコンでEAを稼働させていた場合、災害や停電などの理由により電源が落ちると、EAが停止してしまいます。
しかし、VPSのサーバーは居住している地域とは別の場所にあるため、災害や停電のリスクを避けられます。
特に海外のVPSなら日本よりも災害の頻度が少ない海外にサーバーが設置されているので、安心して自動売買ができるでしょう。
VPSを契約すると、約定速度のアップにつながる可能性があります。自宅にあるパソコンから海外FXの取引サーバーとは通信距離が離れているため、注文をしても約定するまでに多少のタイムラグが発生します。その結果、スリッページが発生して、不利なレートでの約定につながりかねません。
しかし、海外にサーバーがあるVPSを利用した場合は、取引ツールから取引サーバーの通信距離が短くなるため、約定に掛かる時間を短縮できます。
特に1秒の注文の遅れが損益に直結するスキャルピングをしている場合は、約定速度アップのため海外にサーバーが設置されているVPSを利用しましょう。
FXの取引でVPSを使う場合、以下のようなデメリットがあることは理解しておきましょう。
それぞれのデメリットについて順番に解説します。
一部のVPS会社では、契約時に1,000円前後の初期費用が発生する会社もあります。
また、どのVPSでも毎月の費用を支払わなければなりません。自動売買で利益が出なかった場合、VPS分の費用を損します。
VPSの費用は、CPU・メモリ・SSD容量に応じて異なりますが、最も安いプランで月額数百円、高いプランだと月額1万円を超えるものもあります。
VPSを契約する前に、どの会社のプランを使うのか料金を確認しておきましょう。
VPSを使う場合、初期設定をしなければなりません。例えば、ABLENETでWindows11に接続する場合、以下のような設定を行います。
ITツールの設定が苦手な人は難しく感じるかもしれません。手順について分からない点がある場合、VPS会社に問い合わせを行ってサポートを受ける必要があります。
海外FXで自動売買にVPSを使う際の注意点は、以下の3つです。
1.複数のMT4やMT5を起動する場合は上位プランを選ぶ
2.MT4やMT5の自動起動設定を行う
3.FX専用VPSはFX以外の目的では使いにくい
それぞれの注意点について解説します。
VPSで複数のMT4やMT5を起動する場合は上位プランを選びましょう。
なぜなら、最安のプランでMT4やMT5を複数起動すると、メモリ容量が足りなくなるからです。その結果、MT4やMT5が正常に動作しにくくなるかもしれません。
安いプランにすると、トラブルが発生した場合、注文が遅れて損失を被ることもあります。
費用を渋らずにメモリ容量の大きいプランを選択しましょう。
提供会社が勝手にVPSを強制再起動したりWindowsのアップデートが行われたりしたことで、稼働中のEAが誤作動を起こすことがあります。
VPS会社の強制再起動やWindowsのアップデートが実施されても、MT4やMT5を正常に稼働させるためには、自動起動設定を行う必要があります。
また、週1回はMT4やMT5が問題なく稼働しているかVPSにアクセスして確認するようにしましょう。
一部のVPS会社で提供されているFX専用VPSは、FX以外の目的では使いにくいです。
FX専用VPSは、通信高速化のためにSSDや大きいメモリ容量を採用している反面、ゲームなどの大容量に欠かせないストレージは抑えられています。
FXの取引以外にも利用用途がある場合は、FX専用VPSを選ばないようにしましょう。
海外FX業者では、利用条件を満たせば無料でVPSを利用できます。
各業者のVPSのスペックと条件は以下の通りです
海外FX業者 | スペック | 条件 |
FXGT | ・MT4:RAMが2GB、ディスク容量は60GB、CPUは2コア
・MT5:RAMが3GB、ディスクの空き容量は16GB、CPUは1コア |
・初回最低証拠金3,000ドル
・最低月間取引量5GTロット※ |
XM | ・RAMが2.5GB
・ハードドライブ容量が30GB ・CPUは1コア |
・最低証拠金1,000ドル
・最低月間取引量5ロット(もしくは500マイクロロット)
|
HFM | ・RAMが2,560MB
・ストレージが30GB ・CPUは1コア (ブロンズの場合※) |
・過去30日間で最低400ドルの純入金(出金から入金を引いた金額)
・過去1ヶ月以内に2ロット |
Titan FX | ・RAMが2560MB
・ディスク容量が30GB ・CPUは1コア |
・口座残高60万円以上
・最低月間取引量5ロット
|
Traders Trust | ・RAMが2560MB
・ディスク容量が30GB ・CPUは1コア |
・口座残高2,000ドル以上
・最低月間取引量5ロット |
Exness | ・RAMが2GB
・ディスク容量が50GB ・CPUは2コア |
口座残高1,000ドル以上か
500ドル相当以上の残高+直近30日間の取引量が合計50万ドル相当額以上 |
※ GTロットとは、全CFD商品と資産クラスのMT5口座の取引量を測定して、共通のベンチマーク基準を可能にするためにFXGTが開発したロット基準です。
※ HFMやTraders Trustでは有料の上位プランも提供しています。
どの海外FX業者も口座残高と月間取引量の条件を満たすことでVPSを無料で利用できます。
なお、どのFX業者を使う場合でも登録もしくは、VPS費用の請求などの手続きが必要です。
事前に利用手順について確認しておくことをおすすめします。
国内外の会社でVPSを契約する方法もあります。海外FXの取引におすすめのVPSは以下の3つです。
どのVPSを選べば良いか分からない人は、ぜひ参考にしてください。
出典:Beeks
プラン | ブロンズ | シルバー | ゴールド |
初期費用※ | 無料 | 無料 | 無料 |
利用料 | ・年払い4万7,500円
・月払い4,750円 |
・年払い8,550円
・月払い8万5,500円 |
・年払い1万5,200円
・月払い15万2,000円 |
CPU | 1コア | 2コア | 3コア |
メモリ | 1.3GB | 2.7GB | 2.5GB |
容量 | HDD25GB | HDD25GB | HDD25GB |
※VPSエクイニクスNY4、LD4、TY3の場合
※公式サイトではMT5は対応していません。
Beeksは、ニューヨークやロンドン、東京にサーバーがあるVPS会社です。国内のVPS会社とは異なり、FX業者のサーバーとの通信距離が短いため、速い約定スピードで取引できます。
したがって、スキャルピングをする人には、利用しやすいVPS会社といえるでしょう。
ただし、ダウンロードした時点では日本語に対応していません。日本語化をする手間がかかります。
出典:ABLENET
プラン | V0 | V1 | V2 |
初期費用※ | ・SSD1,130円
・HDD1,130円 |
・SSD0円
・HDD0円 |
・SSD0円
・HDD0円 |
利用料 | ・年払い6,637円
・半年払い4,012円 ・月払い783円 |
・年払い1万1,616円
・半年払い6,752円 ・月払い1,234円 |
・年払い2万468円
・半年払い1万1,616円 ・月払い2,167円 |
CPU | 1コア | 2コア | 3コア |
メモリ | 0.5GB | 1.5GB | 2.5GB |
容量 | ・SSDは30GB
・HDDは50GB |
・SSDは40GB
・HDDは100GB |
・SSDは60GB
・HDDは200GB |
※VPSプランの場合
※新規価格の場合
※さらに上位のV3、V4、V5プランもあります。
ABLENETは、低コストかつFX以外の用途でも使えるVPSを提供している会社です。通信環境も安定しており、稼働率は99.99%です。
ただし、メールでのサポートにしか対応していないため、トラブルが起きてもある程度は自分で解決できる人向けのVPS会社といえるでしょう。
出典:さくらインターネット
プラン | 512MB | 1G | 2G |
初期費用※ | 無料 | 無料 | 無料 |
利用料 | ・年払い7,683円
・月払い698円 |
・年払い1万890円
・月払い990円 |
・年払い2万1,538円
・月払い1,958円 |
CPU | 1コア | 2コア | 3コア |
メモリ | 512MB | 1GB | 2GB |
容量 | SSD25GB(50GBに変更可能) | SSD50GB(100GBに変更可能) | SSDは100GB(200GBに変更可能) |
※他にメモリが4GB、8GB、16GB、32GBのプランがあります。
※東京を使う場合(他に大阪と石狩があります。)
さくらのVPS for Windows Serverは、利用中にサーバーのスペックが足りない場合に追加で上位プランに変更できるVPS会社です。
コントロールパネルが初心者でも使いやすい点や6つのプランから選べるといったメリットがあります。
ただし、さくらのVPS for Windows Serverは、3ヶ月の最低利用期間内に解約ができません。2週間のお試しプランを利用してから最適なプランを選択しましょう。
海外FXで自動売買するならVPSを契約しよう!
海外FXで自動売買するなら、安定して稼働させるためにVPSを契約しましょう。VPSは国内外の会社で契約可能ですが、海外FX業者と提携して提供するVPSを利用したほうが無料もしくは安い費用で済むこともあります。
各海外FX業者によって無料で使える条件が異なるので、利用前に必ず確認しておきましょう。
FXGTでは、最低3,000ドルの口座残高と月間取引量が最低5GTLot以上の条件を満たせば、無料でVPSを利用できます。
特にMT4のVPSは60GBのディスク容量、2コアのCPU、2GBのRAMと高いスペックで、最大3台の端末にも接続できます。
自動売買をしたい場合は、ぜひ登録してみてください。