GBP/USDが注目される中、英米貿易協定が焦点に

トレーダーたちは、カナダ雇用統計の発表を控えた金曜日に注目している。このデータはカナダドル（CAD）ペアの変動を誘発する可能性がある。一方、GBP/USDは、最近の回復の兆候と弱さの兆候が交錯していることから、引き続き注目されている。4月の安値から強い反発を見せた後、本通貨ペアは現在、最近の主要中央銀行の決定と主要経済国間の貿易動向の変動により形成された変化するマクロ経済環境下で、テクニカル指標が混在する中、重要な試練に直面している。

影響の大きい経済イベント

金曜日 17:30 (GMT+3) – カナダ: 雇用変化 (CAD)

チャート分析

4月7日に1.27073の安値を付けた後、GBP/USDは強い回復を見せた。この回復は、反転の可能性を示す確立されたローソク足パターンである「強気のハラミ線」の出現をきっかけに始まったものである。その後、一連の長い上昇ローソク足が続いたことで、持続的な買い需要が強調され、本んペアは直近高値の1.34431まで上昇した。

しかし、その後、弱気のフェイラースイングの出現により、上昇トレンドは失速した。最近の高値の1.34019はその前の高値を突破できず、その後の1.32458を下回るブレイクにより、上昇モメンタムの弱体化が示唆され、より深い調整の可能性が高まっている。

テクニカル的には、本通貨ペアは20日の指数平滑移動平均線（EMA）を下回ったものの、50日EMAは上回ったままの取引が続いている。注目すべき点は、20日EMAがまだ50日EMAを下回っていないため、完全な下落トレンドのクロスオーバーは発生していないという点である。モメンタムインジケーターは、モメンタムオシレーターが100のしきい値を下回り、下落圧力の高まりを示しているが、相対力指数（RSI）は中立の50レベルを上回っており、強気バイアスを示している。

これらを総合すると、1.32458 を明確かつ持続的に下回った場合、下降傾向がさらに強まると考えられる。ただし、この動きを検証するには、モメンタムおよびトレンドフォロー型インジケーターによる確認が不可欠である。

主要な抵抗線

買い手が市場を支配し続ける場合、トレーダーは次の4つの潜在的な抵抗線に焦点を移す可能性がある：

1.33198: 最初の抵抗線は 、標準的な手法を用いて推定される週足のピボットポイント（PP）と一致する1.33198 と予測される。

1.34431: 2つ目の価格目標は、4月29日の高値に相当する1.34431である。

1.35047: 3つ目の上値目標は、標準的なピボットポイント手法を用いて計算された週足の抵抗線（R2）に相当する1.35047に設定される。

1.35664: 追加の上値目標は、標準的なピボットポイント手法を用いて算出した週足の抵抗線（R3）を反映するが1.35664に設定される。

主要な支持線

売り手が市場を支配した場合、トレーダーは次の4つの重要な支持線に注目する可能性がある：

1.32458: 最初の支持線は、5月5日に付けた高値の1.32458である。

1.31493: 2つ目の支持線は、1.32458から1.34019までに引いたフィボナッチ・エクステンションの161.8%に相当する1.31493に位置している。

1.29932: 3つ目の目標下値は、1.32458から1.34019までに引いたフィボナッチ・エクステンションの261.8%に相当する1.29932に設定される。

1.27073: 追加の下値目標水準は、4月7日に形成された底値を反映する1.27073に設定される。

ファンダメンタル

イングランド銀行金融政策委員会（MPC）は、5月の会合で銀行金利を25ベーシスポイント引き下げ、4.25%とすることを僅差（5対4）で決定した。この決定は、物価上昇率の継続的な低下を反映したもので、消費者物価指数（CPI）の物価上昇率は3月に2.6%まで低下した。ただし、物価上昇リスクは依然として存在し、特に賃金上昇の加速と、エネルギー価格の以前の上昇を背景に、第3四半期に一時的に3.5%まで上昇するとの予測が要因となっている。

一方、連邦公開市場委員会（FOMC）は、インフレと雇用に関するリスクの高まりを理由に、連邦基金金利を4.25%～4.5%の現行水準で据え置いた。委員会は、長期的に最大雇用と2%のインフレ率の達成への取り組みを再確認し、バランスシートの縮小を継続する方針を示した。今後の政策決定は、入ってくるデータ、見通しの変化、およびリスクのバランスに応じて決定される。

一方、米国はイギリスとの新たな貿易協定を発表した。トランプ大統領はこの協定を「一連の合意の第一弾」と表現した。この協定により、米国製品がイギリスの税関を通過する手続きが迅速化され、特定の輸出制限が緩和される。トランプ氏はまた、今後の貿易交渉が順調に進めば、中国に対する関税を引き下げる可能性があると述べた。

結論

GBP/USDは重要な支持線付近で推移しており、テクニカルシグナルも方向性が不透明な状況であり、特に金曜日のカナダ雇用統計を受けて、市場センチメントが急変する可能性があるため、トレーダーは引き続き警戒を怠らないことが重要である。中央銀行の政策の相違や世界貿易の動向がさらに複雑さを増す中、本通貨ペアの次の方向性は、1.32458の重要な支持線が持ちこたえるか、あるいは突破されるかによって決まるだろう。どちらにブレイクしても、今後の取引の基調が決まる可能性がある。