FXでは、スワップポイントのサヤ取りにより利益を得ることもできます。どのように取引すれば良いか、為替差益を狙う方法よりも利益を得やすいか気になる人もいるでしょう。
本記事では、FXのスワップ狙いのサヤ取りのやり方や利回り、デメリットについて解説します。
サヤ取りとは、アービトラージとも呼ばれており、買いと売りのポジションを両方持って、それぞれの価格差から利益を得る方法です。
FXでは、将来上昇すると予測する場合は買いポジション、逆に将来下落すると予測する場合は売りポジションを保有することを考えれば、一般的な取引方法と異なります。
サヤ取りにはいくつか手法があります。とはいえ、基本的な考え方は、割安な投資対象は買い、割高な投資対象を売ることで利益を得ることです。
FXの場合、サヤ取りには2種類あります。
それぞれの取引方法について詳しく解説します。
為替差益によるサヤ取りとは、値動きの相関性が高い通貨ペアを2種類選んで、両者の価格差により利益を得る手法のことです。
この方法では、まず価格差が縮小しているタイミングで割安な通貨ペアの買いポジション、割高な通貨ペアの売りポジションを持ちます。
その後、2つの通貨ペアの価格差が大きくなったタイミングで決済をすれば利益を得ることが可能です。
例えば、以下のチャートは、上側が豪ドル円、下側がニュージーランド円です。
2023年6月16日にNZドル円を買い豪ドル円を売って、2023年12月12日にそれぞれ決済した場合の価格をまとめると、以下のようになります。
通貨ペア | 2023年6月16日のレート | 2023年12月12日
のレート |
価格差 |
豪ドル円 | 97.6円 | 95.4円 | -2.2円 |
NZドル円 | 88.5円 | 88.1円 | -0.4円 |
豪ドル円の売りで2.2円の利益、NZドル円の買いで0.4円の損失が発生しています。
仮に10万通貨ずつ売買していた場合、豪ドル円が22万円のプラス、NZドル円が4万円のマイナスとなり、トータルで18万円の利益を得ることができます。
他にも、相場が大きく動いた際に、両建てでポジションを保有して損益を相殺する方法を活用すれば、含み損の拡大を防ぎやすくなるでしょう。
次に紹介する手法は、スワップポイントによるサヤ取りです。
スワップポイントとは金利差調整分のことです。各国の通貨は金利が設定されているため、高金利通貨と低金利通貨の組み合わせの通貨ペアを保有した場合、たくさんのスワップポイントを受け取ることができます。
スワップポイントによるサヤ取りは、さらに2つの手法に分けることが可能ですので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
最初に紹介する手法は、相関性が高い2つの通貨ペアのスワップ差で利益を得る方法です。
相関性が高い通貨ペア同士は、同じような値動きをする傾向があります。いくつか相関性が高い通貨ペアの例を挙げると以下の通りです。
A社でポンド円、B社でユーロ円を取引する場合を例に取引方法を見ていきましょう。
以下の表は、A社のポンド円とB社のユーロ円のスワップポイントです。
項目 | ロングのスワップ | ショートのスワップ |
A社のポンド円 | 298円 | -298円 |
B社のユーロ円 | 227円 | -230円 |
A社のポンド円はB社のユーロ円よりも多くのスワップポイントを受け取ることが可能です。
一方で、B社のユーロ円はA社のポンド円よりも支払うスワップポイントは少ないことがわかります。
そこで、A社のポンド円を1万通貨買い、B社でユーロ円を1万通貨売ります。
ポンド円の298円からユーロ円の230円を引いた68円分のスワップポイントを毎日受け取ることが可能です。
次に紹介する手法は、複数業者間で同じ通貨ペアを売買してスワップを稼ぐサヤ取りです。
同じ通貨ペアでもFX業者によってスワップポイントは異なります。
複数業者間で同じ通貨ペアを持つ売買する場合、高金利通貨と低金利通貨の通貨ペアを選びます。
そして、スワップポイントを多く受け取ることができるFX業者で買いのポジションを持ち、スワップポイントの支払いが少ないFX業者で売りのポジションを持つようにしましょう。
例えば、NZドル円のスワップがA社とB社で以下のように違う場合を例に解説します。
ロングスワップ | ショートスワップ | |
A社 | 170円 | -182円 |
B社 | 134円 | -144円 |
※1万通貨あたりのスワップポイント
この場合、A社でロングポジションを持ち、B社でショートポジションを持てば、差額の26円が1日の利益となります。
また、ポジション量を増やせば、もっと利益を増やせるかもしれません。
仮に100万通貨のポジションを保有した場合、1日の利益が2,600円となるので、年間94万9,000円分のスワップポイントを受け取ることができます。
FXのサヤ取りで最も簡単に堅実に利益を得ることができるのは、スワップ狙いのサヤ取りです。
スワップ狙いのサヤ取りには、以下のようなメリットがあります。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
スワップポイントは、毎日1万通貨あたり数十円前後の利益が得られる手法です。
1日あたりの利益は微々たるものですが、毎日ポジションを保有しているだけで、利益を得られるので、堅実に収入を得たいと考えている人におすすめの方法です。
また、為替差益を狙う手法のように相場が大きく動かなくても利益を得ることができます。
違法性もないので、安心して取り組めるでしょう。
スワップ狙いのサヤ取りで取引する場合、同じ通貨ペアで買いポジションと売りポジションの両方を持つことになります。
同じ取引量で両建てをしている場合、相場が一方向に大きく動いても、損益は変わりません。
為替変動による損失のリスクは低いので、初心者でも取引しやすいでしょう。
ただし、最後に2つのポジションを1ポジションずつ決済する場合は、タイムラグの発生により損失が増える可能性があるので注意が必要です。
スワップ狙いのサヤ取りは、為替差益を狙うときのようにテクニカル分析やファンダメンタルズ分析をする必要はありません。
各業者と取引する通貨ペアのスワップポイントを把握して、基本的な注文方法を覚えれば、簡単に始めることができます。
FXのトレード技術を磨く時間がない人でも、始めやすい取引方法です。
FXでスワップ狙いのサヤ取りを行う場合、以下のようなデメリットがあります。
各デメリットについて詳しく見ていきましょう。
スワップ狙いのサヤ取りは大きな利益を狙うのは難しいです。なぜなら、毎日獲得可能なスワップポイントは1日1万通貨あたり数十円ほどしかないからです。
買いと売りの両方のポジションを保有するため、為替差益のように100pips動いても1万円の利益を得ることはできません。
スワップ狙いのサヤ取りでは、選んだ銘柄とFX業者によって利益が大きく変わります。通貨の金利が変更になった場合は、スワップポイントも増減するので注意しましょう。
実際に、20年ほど前は豪ドルの金利が高くスワップトレードをしている人が多くいました。しかし、世界的な不況により豪ドルの金利が低くなってからは、他の通貨でスワップトレードをしている人のほうが多くいます。
一度銘柄とFX業者を選んでも金利次第では、銘柄やFX業者の変更を強いられるかもしれません。
スワップ狙いのサヤ取りでは、受け取れるスワップポイントと取引量によって利益が大きく変わります。たくさん利益を得たいのであれば、取引量を増やすしかありません。
例えば、トルコリラ円は1万通貨あたり47,500円(2024年7月12日時点のレート)の必要証拠金が必要です。
取引量を10万通貨に増やす場合は47万5,000円、100万通貨なら475万円を用意しなければなりません。
さらに、2つの口座で両建てをする場合、両方の口座に十分な証拠金を入れておく必要があります。
スワップ狙いのサヤ取りは、多くの資金を用意できる人向けの手法といえるでしょう。
スワップ狙いのサヤ取りでは、ポジションを複数保有するため、その都度スプレッドがかかります。
仮に1回の取引ごとにかかるスプレッドが片道1pipsだった場合、2つのポジションの往復のスプレッドは、4pipsも必要です。
特に取引量が多い場合は、取引コストの負担も大きくなるので注意しましょう。
ここからは、スワップ狙いのサヤ取りを行う際に避けたい失敗例を2つ紹介します。
これからスワップ狙いのサヤ取りで利益を得たい場合は、ぜひ参考にしてください。
スワップ狙いのサヤ取りは、コツコツと利益を積み重ねる手法のため、本格的に稼ぐためには取引量を増やすしかありません。
しかし、利益を増やしたいばかりに取引量を大きくした場合、急激な為替変動によるロスカットにより片方の口座がロスカットされる可能性があります。
例えば、以下はスワップトレードに向いているとされるトルコリラ円のチャートです。
トルコリラ円は、2008年の100円から2024年7月には4.8円まで下落しています。トルコリラ円でスワップトレードをする場合は、暴落してもロスカットされないように口座に資金を多く入れておく必要があります。
1万通貨であれば約100万円が口座にあれば今もポジションを保有できているでしょう。しかし、100万通貨のポジションを持っていた場合、1億円ほどの資金を口座に入れていなければ、途中でロスカットされて大きな損失を被っていました。
スワップポイントをたくさん受け取ることができる高金利の通貨は、政情や経済の不安から暴落することもあるので注意しましょう。
FXでスワップ狙いのサヤ取りをする際に海外FX業者を使う場合は、複数口座や業者間での両建てが禁止されていないか確認しましょう。
特にボーナスキャンペーンを積極的に行っているFX業者の場合、同一口座での両建ては認められている一方で、複数口座や他の業者との両建てを禁止していることがほとんどです。
規約違反となる取引をした場合、口座凍結や利益を没収される恐れがあるので注意しましょう。
スワップ狙いのサヤ取りなら、初心者でもコツコツ利益を得ることができるでしょう。ただし、為替差益ほど多くの利益を狙えない点や銘柄とFX業者の選定が重要である点は理解しておくべきです。
また、たくさん稼ぎたいからと取引量を増やしすぎると、ポジションがロスカットされるリスクもあります。事前にシミュレーションした上で、口座には充分な資金を入金しておきましょう。
FXGTでは、最大1,000倍のレバレッジで取引できるため、スワップ狙いのサヤ取りをするための資金を抑えることができます。また、入金ボーナスキャンペーンを活用することで、証拠金を多く増やして取引を始められるでしょう。
ぜひ、この機会に口座開設してはいかがでしょうか。