注目のUSD/JPY：G7 を控えたデータ主導の動きと外交の暗流

今後2日間で発生する複数の重大な経済イベントが、為替市場に顕著なボラティリティを引き起こす可能性がある。特に、USD、GBP、AUDに影響を与える可能性がある。木曜日のスケジュールには、オーストラリアの雇用変化、英国の月次GDP、ニューヨークセッション中には米国の主要経済指標（PPI、小売売上高、失業保険申請件数）の発表が予定されている。金曜日は、ミシガン大学による消費者信頼感指数とインフレ期待の速報値が注目される。これらの発表は、来週のG7会議を控え、強気のテクニカルシグナルと、米国と日本の金融政策の連携に関する憶測の高まりを背景に、USD/JPY が上昇を続けている中で行われる。

影響の大きい経済イベント

木曜日 4:30 (GMT+3) – オーストラリア: 雇用変化 (AUD)

木曜日 9:00 (GMT+3) – 英国: GDP 前月比 (GBP)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: PPI 前月比 (USD)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: 小売売上 前月比 (USD)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: 失業保険申請件数 (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者態度指数 (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者態度指数（インフレ期待値 (USD)

チャート分析

4月22日に139.877の安値を付けた後、USD/JPYは、ローソク足の反転パターンに始まり、テクニカルインジケーターやチャートパターンによって支えられ、著しい反発を見せている。重要な展開は、フェイラースイング反転パターンの形成である。これは、前回安値よりも高い安値（142.346）を形成し、その後145.913の高値を上抜けるブレイクアウトが発生したことで特徴付けられ、上昇傾向への転換を示唆している。

値動きは、20日指数平滑移動平均線（EMA）を堅調に上回っており、持続的な上昇トレンドを示している。これと一致して、モメンタムオシレーターは100のしきい値を上回って推移しており、相対力指数（RSI）も中立の50水準を大幅に上回って推移している。これにより、継続的な買い需要が強調されている。

ただし、注意が必要である点としては、20日EMAがまだ50日EMAを上回っていないことがある。これは、現在のモメンタムが前向きであるものの、より持続可能なトレンド転換の確証はまだ得られていないことを示している。

主要な抵抗線

買い手が市場を支配し続ける場合、トレーダーは、以下の4つの潜在的な抵抗線に注目する可能性がある：

148.641: 最初の抵抗線は5月12日の高値と一致する148.641である。

150.653: 2つ目の価格目標は、144.022から141.948までに引いたフィボナッチ・エクステンションの423.6%と一致する150.653に設定される。

154.794: 3つ目の価格目標は、2月12日に記録された高値と一致する154.794観に測される。

158.866: 追加の上値目標は、1月1日の日足高値を反映する158.866に設定される。

主要な支持線

売り手が市場を支配した場合、トレーダーは、以下の4つの潜在的な支持線を考慮する可能性がある：

145.913: 最初の支持線は、5月2日の高値の145.913と推定される。

144.022: 2つ目の支持線は、4月25日の高値を反映する144.022である。

141.948: 3つ目の支持線は、4月29日に付けた安値と一致する141.948である。

139.877: 追加の下値目標は、4月22日の安値を反映する139.877に見られる。

ファンダメンタル

トランプ政権がドル安を好むとの市場での憶測が高まっているにもかかわらず、米国当局者は現在の貿易交渉に通貨政策に関する約束は含めていない。スコット・ベッセント（Scott Bessent）財務長官は、通貨問題を担当する唯一の当局者であり、米国の強いドル政策を繰り返し表明している。しかし、これまでの発言や経済目標を踏まえると、市場は引き続きドル安の予想を価格に織り込んでいる。韓国ウォンや台湾ドルをはじめとするアジア諸国の通貨の最近の値上がりは、米国の通貨政策の変化に対する感応度の高まりを反映している。

一方、加藤勝信財務大臣は、来週カナダで開催されるG7財務大臣会合で、スコット・ベッセント米国財務長官と会談し、為替問題について協議する予定だ。日米は貿易交渉と為替問題を分離することで合意しているが、加藤大臣は、関税問題と為替問題が同時に議論される可能性は当然あると述べた。この会談は、トランプ大統領が貿易赤字に重点を置いていることから、日本が円高容認の圧力に直面するのではないかという市場の懸念が高まっていることを受けたものである。

結論

影響力の大きい一連の経済指標の発表と、通貨政策に対する地政学的注目度の高まりを受けて、市場参加者は、特に USD/JPY のボラティリティの高まりに備える必要がある。トレーダーは持続的なトレンドの確認を待っており、慎重な見方もありますが、テクニカル的見通しは依然として強気である。一方、G7での日米当局者による協議は、経済情勢や政策シグナルの変化に敏感なFX市場に、さらなる複雑さを加える可能性がある。したがって、週の終盤に向けては、データと外交が重要な要因となるだろう。