上昇モメンタムが強まり、ファンダ要因が一致する中、シルバーの価格が13年ぶりの高値近辺で上昇を続ける

シルバーは、テクニカル要因・ファンダメンタル要因が支援的な状況下で、引き続き投資家の注目を集めている。最近の値動きは持続的な上昇傾向を示しており、金属が複数年の高値近辺で取引される中、買い手が主導権を維持している。今週は複数の経済指標の発表が予定されているが、現在の市場動向は、直近のマクロ経済要因よりも、根本的な需給のアンバランスとテクニカルな位置付けにより影響を強く受けている模様だ。

影響の大きい経済イベント

水曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: CPI 前月比 (USD)

木曜日 9:00 (GMT+3) – 英国: GDP 前月比 (GBP)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: PPI 前月比 (USD)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: 失業保険申請件数 (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者態度指数（速報値） (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者信頼感指数（インフレ期待値）（速報値） (USD)

チャート分析

4月7日に記録された1トロイオンスあたり$28.250の安値を底に、シルバーは著しい回復を見せており、値動きは新たな強さと買い需要の拡大を反映している

テクニカルインジケーターも強気の見通しを裏付けている。モメンタムオシレーターは100のベースラインを上回り、上昇圧力の持続を示している。また、相対力指数（RSI）は中立の50を上回っており、いずれもポジティブな勢いが続くと予想される。
さらに、値動きは20日指数平滑移動平均線（EMA）の上で堅調に推移しており、短期的な強さを裏付けている。20日と50日のEMAの上昇傾向は、現在の上昇トレンドが継続していることをさらに裏付けるものである。

しかし、建設的なテクニカル要因があるにもかかわらず、ある程度の注意は必要である。価格とモメンタムオシレーターとの間にネガティブな乖離が見られ、モメンタムが弱まっていることを示唆しており、より広範囲の強気構造の中で、一時的な停滞や調整的な反落の可能性が高まっている。

主要な抵抗線

買い手が市場を支配し続ける場合、トレーダーは次の4つの潜在的な抵抗線に焦点を移す可能性がある

36.876: 最初の抵抗線は、6月9日に記録した日足高値の36.876と推定される。

38.453: 2つ目の価格目標は、標準的なピボットポイント手法を用いて算出した週足の抵抗線（R2）を反映する38.453と予想される。

38.992: 3つ目の価格目標は、38.992に設定される。

40.249: 追加の価格目標は、33.678から31.637までに引いたフィボナッチ・エクステンションの423.6%に相当する40.249に確認される。

主要な支持線

売り手が市場を支配した場合、トレーダーは次の4つの重要な支持線に注目する可能性がある：

34.564: 最初の支持線は、3月28日に付けた高値の34.564である。

33.678 2つ目の支持線は、4月24日の日足高値の33.678に位置している。

31.637: 3つ目の下値目標は、5月15日の安値に対応する31.637に設定される。

30.438: 追加の下値目標は、週足の支持線（S3）を基準に標準的なピボットポイント手法を用いて算出した30.438が設定される。

ファンダメンタル

6月9日、シルバーは13年以上ぶりの高値を記録し、先物価格は1トロイオンスあたり36.876ドルに達した。これは2012年初頭以来の最高値である。シルバーは今年に入ってから26%以上上昇し、2025年に約28%上昇したゴールドとのパフォーマンスの差を縮めている。シルバーの急騰は、特に太陽光発電技術における強い工業需要と、防御資産としての魅力に支えられている。Silver Instituteの推計によると、2024年に15%の供給不足に続き、供給不足が予想されることが、強気な見方をさらに後押ししている。

結論

シルバーは数年ぶりの高値で取引されており、より広いテクニカル構造およびファンダメンタル状況は引き続き強気の見通しを後押ししている。モメンタムは依然として堅調ですが、乖離の兆しが見られ、短期的な調整の可能性も考えられる。市場参加者は、今後の経済指標の発表を注視する中、価格の方向性は、構造的な需給動向と投資家のセンチメントの推移に左右される見通しだ。トレーダーは、次の方向性を決定するモメンタムの変化や重要な水準の変化に引き続き注意を払う必要がある。