経済指標発表を前にUSD/CAD下落

週後半にかけて、市場では、英ポンドと米ドルの通貨ペアのボラティリティに影響を与える可能性のある、いくつかの影響力の大きい経済指標の発表が予定されている。本日後半は、英国の月次GDPデータ、および生産者物価指数（PPI）や失業保険申請件数などの米国の主要経済指標が注目される。金曜日には、ミシガン大学による米国の消費者信頼感指数とインフレ期待の速報値が発表される。

これらの動向を受けて、USD/CADは継続的な圧力下にあり、最近の低下にはファンダメンタル要因とテクニカル要因がともに影響している。

影響の大きい経済イベント

木曜日 9:00 (GMT+3) – 英国: GDP 前月比 (GBP)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: PPI 前月比 (USD)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: 失業保険申請件数 (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者態度指数（速報値） (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者信頼感指数（インフレ期待値）（速報値） (USD)

チャート分析

2月3日に1.47920の高値を記録した後、USD/CADは本稿執筆時点において6%を超える下落を記録している。これは、ファンダメンタル要因とテクニカル要因の組み合わせによる圧力が背景にある。

テクニカル面では、本通貨ペアは20日および50日の両指数平滑移動平均線（EMA）を下回って取引されており、現在の弱気傾向がさらに強まっている。モメンタムインジケーターも、この見方を裏付けている。モメンタムオシレーターは100を下回り、下落圧力が持続していることを示している。また、相対力指数（RSI）は中立の50を下回って推移しており、売り圧力が続いていることを示している

ただし、価格とモメンタムオシレーターの間で強気ダイバージェンスが発生していることは注目に値する。このダイバージェンスは、現在の下落トレンドの一時的な停止または短期的な調整反発の可能性を示唆する可能性がある。

主要な抵抗線

強気筋が市場を支配した場合、トレーダーは、以下の4つの潜在的な抵抗線に注目する可能性がある：

1.36853: 最初の抵抗線は、5月26日に記録された安値と一致する1.36853に設定される。

1.38607: 2つ目の価格目標は、5月29日のスイング高値を表す1.38607に設定される。

1.40154: 3つ目の価格目標は、5月13日に形成された日中高値と一致する1.40154に設定される

1.42379: 追加の価格目標は、3月6日に記録された安値を反映する1.42379に設定される。

主要な支持線

弱気筋が市場を支配し続ける場合、トレーダーは、以下の4つの潜在的な支持線を考慮する可能性がある：

1.35769: 最初の支持線は、安値1.36853から高値1.38607までに引いたフィボナッチ・エクステンションの161.8%と一致する1.35769である。

1.35254: 2つ目の支持線は、標準的なピボットポイント手法を用いて推定した週足の支持線の1.35254と推定される。

1.34015: 3つ目の支持線は、安値1.36853から高値1.38607までに引いたフィボナッチ・エクステンションの261.8%と一致する1.34015と特定される。

1.31177: 追加の目標下値は、安値の1.36853から高値の1.38607までに引いたフィボナッチ・エクステンションの423.6%と一致する1.31177である。

ファンダメンタル

5月、季節調整済みの都市部消費者物価指数（CPI）は0.1%上昇し、4月の0.2%上昇からやや鈍化した。前年同月比では、消費者物価指数（CPI）は2.3%から2.4%に小幅上昇した。

この月次上昇の主な要因は、0.3%上昇した住居費であり、食品価格も0.3%上昇し、家庭内および家庭外の両方で上昇が見られた。一方、ガソリン価格の下落を先頭に、エネルギー価格は1.0%下落した。

コアCPI（食品とエネルギーを除く）も5月に0.1％上昇した。医療費、自動車保険、家具、教育費で顕著な上昇が見られた。一方、航空運賃、自動車、衣料品の価格は下落した。

過去12か月間のコアインフレ率は2.8%である。食品価格は前の年と比べて2.9%上昇、エネルギー価格は3.5%低下した。

結論

米国生産者物価指数（PPI）、失業保険申請件数、消費者信頼感指数など、主要な経済指標の発表が控えているため、市場参加者はボラティリティの変動に注意を払う必要がある。特に、米ドルに敏感な通貨ペアであるUSD/CADなどでは、その影響が顕著になる可能性がある。本通貨ペアはテクニカル的に弱い状態が続いているが、強気のダイバージェンスの兆候が見られるため、短期的な反発の可能性が示唆されている。ファンダメンタルの圧力とテクニカル的シグナルが引き続き変化する中、トレーダーは主要な水準と今後のデータ発表を注意深く監視し、方向性のモメンタムを評価し、リスク管理を適切に行う必要がある。