タートルズのFX手法とは？ 使い方や資金管理のルールを解説 

「タートルズとはどんな手法？」「タートルズと同じ手法で利益を得たい」と考えている人もいるでしょう。とはいえ、なぜタートルズが莫大な利益を得られたか、現代でも通用するか疑問を持っている人も多いのではないでしょうか？

本記事では、タートルズの講習内容や具体的な手法、現在のFX取引に活用できる考え方などを解説します。タートルズの手法に興味がある人は、ぜひ参考にしてください

タートルズとは、リチャード・デニスとウィリアム・エックハートが優れた投資家を教育で育成できるかを検証するため、1983年に開始したトレーダー育成プログラムのことです。

デニスはシンガポールの亀の養殖場にちなんで参加者を「タートルズ」と呼び、新聞広告から集まった応募者1000人から13人を選抜しました。（1984年に2回目の募集でさらに10人を選抜した）

プロギャンブラーや大学の博士号を持つ人、トレード未経験者など選ばれた13人にトレード手法を伝授した上で、100万ドルの運用を任せたのです。

タートルズは主に先物市場で取引を行い、厳格なルールに基づくトレンドフォロー戦略を使用しました。

その結果、平均して年間80%の複利リターンを達成し、4年間で1億7500万ドル以上の利益を上げたと報告されています。

この実験から、優秀なトレーダーは育成できるという結論に至りました。

講習の内容

タートルズの講習では、以下のような講習が行われました。

• 通貨、債券、トウモロコシ、原油といった市場でのトレードに必要な知識を提供
• 少額でのトレード練習
• 少額口座で利益を得た人のみ100万ドル口座で運用する機会を提供

まず最初にトレードに必要な知識を提供して、少額でのトレード練習を約2週間に渡って実施しました。

そして、少額口座で利益を得た人のみに100万ドル口座で運用する機会を与えたのです。

その結果、参加者の中で最も多くの利益を得たのは、当時最年少の19歳でトレード未経験だったカーティス・フェイスでした。

カーティス・フェイスは、最も巨額の口座である200万ドルの運用を任され、わずか4年で3000万ドル以上を稼ぎ出しました。

その後、カーティス・フェイスは「伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術」という著書を出版しています。

講習を受けても利益を出せなかった人もいる

カーティス・フェイスのように巨額の利益を出したトレーダーがいる一方で、講習を受けても利益を出せなかった人もいます。

利益を出せなかった人の特徴を挙げると以下の通りです。

実習で失敗を恐れた

保守的なトレードスタイルを選択した

相場変動が激しくリスクが高いと考えていた

期限まで数日しかない相場では、収益を得られないと考えていた

反対に巨額の利益を出したカーティス・フェイスのように、トレード未経験でも決められたルール通りトレードすれば、利益を得られる可能性があることが分かります。

ここからは、タートルズの投資手法について紹介します。

1. タートルズ手法を活用する相場
2. タートルズ手法のエントリールール
3. タートルズ手法の決済ルール
4. タートルズ手法における資金管理のルール

それぞれの投資手法について順番に見ていきましょう。

1.タートルズ手法を活用する相場

タートルズの講習では、以下の4つの相場でトレードを行いました。

1. FX</li>
2. コモディティ
3. 国債
4. S&P 500

ほかの商品についても利用することは可能ですが、推奨されていません。

2.タートルズ手法のエントリールール

タートルズの投資手法はトレンド・フォロー型とブレイクアウトが基本です。具体的なエントリールールは以下の2つです。

過去20日間の最高値をブレイクしたら買い、過去20日間の最安値をブレイクしたら売る

55日間の高値と安値をブレイクアウトしたらエントリーを行う

それぞれのルールについて詳しく見ていきましょう。

1.トレンドフォロー戦略

1つ目のエントリールールは、過去20日間の最高値をブレイクしたら買い、過去20日間の最安値をブレイクしたら売るトレンドフォロー戦略です。

以下のような上昇トレンドにおいて、過去20日間の高値を超えた部分は、買うチャンスです。

実際に、エントリー後に価格が上昇し続けています。

なお、エントリーにあたって20日間という期間をルールに入れている理由は、短期的な相場変動による誤った判断を避けるためです。

2.ブレイクアウト戦略

2つ目のエントリールールは、55日間の高値と安値をブレイクアウトしたらエントリーを行う方法です。

ブレイクアウト戦略では、過去55日間の最高値と最安値を探した上で、どちらかをブレイクアウトしたらその方向について行きます。

3.タートルズ手法の決済ルール

タートルズ手法における決済ルールは以下の2つです。

ロングポジション（買い）を保有した場合は、以下のように10日間の安値を更新した時点で決済します。

一方、ショートポジション（売り）を保有している場合は、過去20日間の高値を更新した時点で決済します。

買った場合と売った場合とでは、決済ルールが異なるので注意しましょう。

4.タートルズ手法における資金管理のルール

ここからは、タートルズ手法における資金管理のルールを紹介します。

1. 最大損失額のルール
2. ポジションサイズのルール
3. 利益確定のルール
4. 損切りのルール

手法が優れていても資金管理ができていなければ、長期的に利益を得られません。各ルールについて順番に見ていきましょう。

1.最大損失額のルール

タートルズ手法では、最大損失額のルールを2つ設けています。

• 1日の最大損失額は投資資金の2％まで
• 1回の取引でポートフォリオの損失額を最大1%にとどめる

例えば、投資資金が100万円なら1日の最大損失額は2万円、1回の取引の最大損失額は1万円です。

最大損失額のルールを設定することで、相場が急激に変動した場合でも損失額を抑えることができます。また、感情的なトレードを避ける、複数の資産に分散投資しやすくなるといったメリットもあります。

2.ポジションサイズのルール

タートルズ手法では、資金を10等分して各商品に分散投資するルールがあります。加えて、ポジションサイズを市場のボラティリティ（価格変動）に応じて柔軟に決定して、各市場で同じ規模になるよう調整します。

それぞれのポジションの変動を平均化することで、分散投資の効果を高めているのです。市場の流動性を判断する際は、20日指数平滑移動平均を使用します。

このような仕組みによりドローダウンによる資産の減少に耐えることができます。

3.利益確定のルール

タートルズの手法では、利益目標を置いていません。利益目標を設定してしまうと、トレンド継続中の早い時期に決済することで大きな利益を逃す可能性があります。

また、利益目標を固定化すると、日々変わっていく相場環境に柔軟に対応できません。決済ルールを満たすまでは、ずっとポジションを保有して利益を伸ばします。

4.損切りのルール

タートルズでは、想定外の損失を避けるためにストップロス注文（損切り）を必ず入れなければなりません。

エントリーと逆方向に動いても、確実に損切りができるため、損小利大のトレードができるようになります。

また、ボラティリティが高い市場で取引をする際は、損切りまでの値幅を広く取る工夫をすることもあります。

タートルズの手法は30年以上前に考案されたものであるため、現在同じ手法を使っても同じように利益を得ることは難しいといわれています。 

タートルズに講習を行った1980年代前半は、現代よりも情報伝達が遅かったため、トレンド相場が長期的に継続しやすい傾向がありました。 

しかし、現代ではインターネットの普及により情報の伝達は速くなりました。テクニカル分析の方法について一般投資家も知ることができるので、トレンドフォローが以前よりも機能しにくくなっています。 

タートルズの手法は、現代では通用しにくくなっていますが、それでも以下のことを教えてくれるので重要です。

1. トレードにおいてルールが重要
2. 感情のコントロールを行う
3. 損小利大を目指す

それぞれの理由について詳しく解説します。

1.トレードにおいてルールが重要
タートルズの講習では、トレードにおけるルールの重要性を明確に示しました。

エントリー、清算、ポジションサイズ、そしてストップロスについて明確に定義されたルールがなければ、トレーダーは直感のみに頼って取引を行うことになります。

直感だけに頼った取引を続けると、トレーダーは自身の能力を超える取引をしてしまうので、大きな損失を被るでしょう。

明確なルールを設定することで、一貫性のあるトレードができるようになるので、長期的に利益を得やすくなります。

2.感情のコントロールを行う

タートルズの手法では、明確に定義されたルールに基づいて取引を行うことで、感情的な判断を排除することが重要であることが分かります。

なぜなら、感情的な判断は往々にして誤った決定につながりやすく、大きな損失を招く可能性があるからです。

とはいえ、感情をコントロールするには、継続的な練習と自己分析により経験を蓄積していく必要があります。

この点では現代のトレードにも通ずるものがあるでしょう。

3.損小利大を目指す
タートルズの参加者のように、トレードでは損失は小さく利益はできるだけ伸ばす損小利大を目指すことが重要です。

ただし、高値更新で買い、売値更新で売るといったトレード手法は、高値づかみや安値づかみの危険性があるため、心理的に避けたくなるものです。

また、含み益を抱えているときは、これだけ上昇しているからそろそろトレンドが転換するだろうと考えて決済したくなるかもしれません。

しかし、タートルズのルールに沿ってトレードを行えば、利益を早期で確定してしまう可能性を減らせるでしょう。

このように、タートルズで重要とされている考え方は、現代のトレードでも十分役に立ちます。

タートルズの手法は、現代では通用しにくくなっています。しかし、ルールを決めることや資金管理の考え方については、現代のFXトレードでも重要といえるでしょう。

FXトレードでなかなか利益が出なくて困っている人は、タートルズの考え方をもとにトレード技術を身につけましょう。

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