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成行注文が危険と言われる理由は、約定価格を指定できないこと、スリッページの発生、スプレッドが拡大する時間帯には不利な価格で約定するリスクがあるからです。
また、早朝や経済指標発表前後のように成行注文が危険なタイミングもあるため、慎重な使い方が求められます。
本記事では、成行注文が危険とされる理由と注意すべきタイミング、失敗例やその対策を解説します。

成行注文とは、注文価格を指定せず、その時点で市場に提示されている価格で約定を目指す注文方法です。価格を指定する指値注文と比べて約定しやすい一方、相場状況によっては想定していた価格と実際の約定価格に差が生じることがあります。
成行注文が危険とされるのは、約定価格をコントロールできない点にあります。
発注した瞬間に画面へ表示されていたレートと、実際に成立するレートは必ずしも一致せず、この差はスリッページと呼ばれます。
スリッページが生じる背景には、注文を発注してから約定するまでの間に価格が変動することや、相場の流動性などが関係しています。
ごくわずかな時間であっても、その間に相場が動けば動いた分だけ約定価格はずれることになります。
スリッページは相場環境によって有利な方向に働くこともあれば不利な方向に働くこともあり、どちらに転ぶかは事前には分かりません。
値動きが穏やかな場面であればスリッページは小さく済みますが、価格が短時間で大きく動く場面では、想定していた水準から大きく離れた価格で注文が成立することがあります。

また、成行注文をする際には、他の注文方法と同様にスプレッドがかかります。
買値と売値の差であるスプレッドは、ポジションを持った瞬間に発生するコストです。
成行注文では、発注時点で表示されているレートと実際の約定価格が異なる場合があります。注文処理中の価格変動によってスリッページが発生することがあり、スプレッドも取引コストとして発生します。
問題は、スプレッドの拡大とスリッページがいずれも相場の急変時や流動性の低下時など同時に発生する傾向がある点です。
スプレッドの拡大とスリッページの発生が重なった場合、取引コストの負担が大きくなります。
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スプレッドの拡大とスリッページが重なりやすいのは具体的にどのような場面なのでしょうか。ここからは、時間帯やイベントごとにその背景を整理していきます。
以下は、成行注文が危険とされるタイミングとリスクや背景をまとめた表です。
| タイミング | 主なリスク | 背景 |
| 日本時間早朝 | スプレッドの拡大 スリッページの発生 | 市場参加者が少なく流動性が低い |
| 夜間の経済指標発表時 | スプレッドの拡大 数量制限や注文拒否による約定不成立 イベントで注文が一方向へ集中 | 欧米指標や要人発言が集中 |
| 週明けの窓開け発生時 | 窓開けで想定外の価格での約定 | 週末に何らかのニュースが発生 |
| ストップ高・ストップ安 (株式) | 約定ができなくなる 約定が遅延する | 一方向への注文が集中 |
日本時間の早朝は、成行注文が危険とされる代表的なタイミングです。
FXの市場は東京・ロンドン・ニューヨークの3大市場を中心に動いており、早朝はこれらの市場の全てが開いていない唯一の時間帯にあたります。
取引量や流動性が低下しやすいため、通常時より価格が変動しやすく、スプレッドも拡大する場合があります。
海外FX業者によって異なりますが、早朝になるとスプレッドが10pips近くまで拡大することがあり、国内FX業者についても拡大する傾向があります。
板が薄い状態での成行注文は、画面上の価格とかけ離れた水準で約定する危険度が高まる点に注意が必要です。
日本時間21時頃(夏時間の場合)から始まるニューヨーク時間では、米国の経済指標の発表や要人発言が集中します。
この時間帯のうちロンドン市場と重なる数時間は世界的に取引量が最も多くなるため、平常時のスプレッドはむしろ一日の中で狭く安定しやすい傾向があります。
その一方で、以下のような重要指標やイベント前後の時間帯になると、価格の変化するスピードが速くなるので注意が必要です。
多くのFX業者は発表の瞬間に注文が集中することを見越して、以下のような措置を取ることがあります。
さらに発表内容が市場予想と大きく異なると、一方向へ注文が集中して反対側の注文が一時的に枯れ、売買のバランスが崩れた状態が数分にわたって続くこともあります。
直前まで狭く保たれていた条件が短時間で一変するため、この局面での成行注文は想定と離れた価格で約定する危険度が高まります。
FXは平日ほぼ24時間取引できる一方で、土日は市場が閉じます。
この間に重要なニュースや経済イベントが発生すると、価格を織り込む取引の機会がないまま週が明けます。

その結果、金曜日の終値と月曜日の始値が離れ、チャート上に空白が生まれる窓開けが発生することがあるので注意が必要です。
例えば、金曜日の深夜に成行注文でポジションを持ったまま週末を越えた場合、月曜日の早朝に保有方向とは逆向きの窓開けが起きると、取引を開始した時点で既に大きな含み損を抱えている状態になることも考えられます。
さらに、週明け直後は流動性も回復しきっていないため、慌てて成行注文で決済しようとすると想定と離れた価格で約定する危険度が高まります。
こうした事情から、週末をまたぐ価格変動の影響を避ける目的で、金曜日のうちにポジションを整理しておく投資家も少なくありません。
その一方で、窓開けが有利な方向に働く場合もあるため、どちらが適切かは取引の考え方や資金管理の方針によって異なります。
株式取引では、1日の値動きの幅を制限する値幅制限があり、その上限まで上がった状態をストップ高、下限まで下がった状態をストップ安といいます。
また、売り買いどちらかの成行注文などが大量に発注されてストップ値段になっている場合は、通常の板寄せで終値をつけられず、比例配分という方法で売買を成立させることがあります。
このような局面では成行注文を出しても約定しない、あるいは約定が大きく遅れる可能性があるので注意が必要です。
約定しないまま価格だけが動く状態は、損失を限定したい場面では特に危険度が高いといえます。
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危険とされるタイミングを理解したうえで、実際にどのような失敗が起こりやすいかを具体例で見ていきます。
いずれも特別な相場ではなく、日常的に起こり得る場面である点が共通しています。
成行注文の最も典型的な失敗が、想定より高い価格で買う高値掴みや、想定より安い価格で売る安値売りです。
高値掴みが起きやすいのは、相場が一方向に大きく動いている場面です。
例えばドル円が短時間で急伸している局面で、上昇に乗り遅れまいと成行で買い注文を出した結果、その日の高値付近で約定してしまうといったケースが考えられます。
直後に価格が戻せば、そのまま含み損を抱えることになります。
安値売りはこの逆で、急落の途中で慌てて売り注文を出した結果、下げ止まる直前の安値圏で約定してしまう形です。
値動きを追いかける形での成行注文は、結果として不利な水準での約定につながりやすい傾向があります。
経済指標の発表直後に、相場が動き出したから乗りたいと成行買いを入れ、想定よりかなり高い価格で約定してしまうケースも代表的な失敗例です。
発表直後の値動きは、一方向に進み続けるとは限りません。
発表された数値が市場予想と乖離した直後は買いと売りの注文が交錯し、数分のうちに上下どちらにも大きく振れることがあります。
動き出しを見てから成行で飛び乗ると、その振れ幅の上限付近や下限付近でポジションを持つ形になりやすくなります。
この状態で価格が反転すると、利益確定を検討していた水準に届く前に、あらかじめ設定していた損切り注文に達してしまうことがあるため注意が必要です。
中長期の方向性についての見立て自体は結果的に合っていたとしても、発表直後の往復の振れに巻き込まれて先に決済されるという展開は珍しくありません。
発表前から保有していたポジションについても同様で、指標をまたいで持ち越す場合には、損切り注文の位置が発表直後の振れ幅の内側に入っていないかを事前に確認しておくことも、一つのアプローチとして検討できます。
対応の一例としては、発表直後の数分は様子を見て値動きが落ち着いてから判断する、指標をまたぐ取引そのものを避ける、取引数量を普段より抑えるといった方法が検討できます。
2019年1月3日早朝にドル円においてフラッシュ・クラッシュが発生し、わずか5分程度で4円程度も急落しました。
フラッシュ・クラッシュは正月休みで日本の市場参加者が少ないなか、シドニー為替市場で起こったとされています。
主な要因の一つとして、米アップルが1月2日に2018年10〜12月期の売上見通しを下方修正したことが挙げられます。正月休みで日本の市場参加者が少なかったことも下落に拍車をかけました。
また、この急落は事前の予兆がほとんどない突発的な出来事でした。
仮に同じような急落が再び起きれば、予兆を捉えることが難しいまま値動きが始まる可能性があります。
日本時間の早朝という時間帯であれば、就寝中や身支度の最中で、気づいたときにはすでに下落が一巡していたという状況も十分に起こり得るでしょう。
さらに、こうした局面では買い注文と売り注文のどちらかが極端に少なくなり、提示される価格そのものが平常時から大きく離れることがあります。
成行注文は価格を指定せずに発注する方法のため、その時点で成立する価格をそのまま受け入れることになります。
ポジションを保有していた場合、慌てて成行で損切りの注文を出すと、想定していた水準から数円単位で不利な価格で成立し、結果として損失を広げてしまうかもしれません。
ここまで見てきた失敗は、いずれも一度きりの失敗例として説明してきましたが、実際には失敗が次の失敗を呼ぶこともあります。
例えば、相場が急変動する局面では、焦りから成行注文を繰り返してしまい、損失が積み上がっていくケースが考えられます。
エントリーと決済を短時間で何度も繰り返した場合、その都度取引コストを支払わなければなりません。
相場が大きく動く局面ほど冷静な判断が難しくなるため、感情に流された連続的な成行注文は証拠金を減らす要因になり得ます。
危険な成行注文を避けるために、一つのアプローチとして検討できる方法を紹介します。
なお、いずれの方法もリスクをゼロにするものではない点にご注意ください。
最もシンプルな対策は、以下のように流動性が低下する時間帯や急変動が予想される場面での成行注文を控えることです。
これらの時間帯は、スプレッド拡大やスリッページが起こりやすいため、取引を手控えるか、価格が落ち着いてから判断するという方針が考えられます。
経済指標のスケジュールについては各FX会社の経済指標カレンダーやMT5・MT4などで事前に確認できます。
多くのFX会社では、成行注文時に取引ツールで許容スリッページ(スリッページの限度幅)を設定できます。
MT4・MT5の場合は、ポイント単位(各銘柄の価格が刻まれる最小の値幅)で設定が可能です。
ドル円の場合、小数点第3位までレートが表示されるため、0.001の動きが1ポイントという扱いになります。

仮に許容スリッページを10ポイントに設定した場合、許容される価格のずれは0.001の10倍にあたる0.010円となります。
つまり、ドル円が155.000円の時に成行注文を出した場合は、154.990円から155.010円までの範囲であれば、レートが多少動いていても注文はそのまま約定します。
その一方で、154.989円以下あるいは155.011円以上の価格で注文が約定することはありません。
特にスキャルピングやデイトレードなど、1pipsの値動きが損益に与える影響が大きい場合は、許容スリッページの設定を狭めに調整する方法も考えられます。
3.指値注文と使い分ける
エントリーをする際は価格をコントロールできる指値注文を基本とし、損切りなど、価格よりもポジションを決済することを優先したい場面では、成行注文が使われることがあります。
指値注文を使用した場合、成行注文のように不利な価格で約定する恐れがありませんが、指定した価格に到達しないと約定しないというデメリットがあるでしょう。
一方、損切りの局面では約定しないまま損失が広がることを避けるため、価格の有利さよりも決済されることを優先する考え方が一般的に知られています。
損切り注文は、指定した価格に達した時点で成行注文として処理される仕組みのため、多少のスリッページが生じても決済が成立しやすくなっています。
初心者には指値と成行注文のどっちがおすすめ? 各注文方法の注意点も解説!
4.感情に流されないルールを作る
損失を取り戻そうとして根拠のない取引を重ねる、いわゆる感情的な売買の連鎖を防ぐには、あらかじめ以下のようなルールを決めておくことが有効と考えられます。
重要指標の発表前後30分は成行注文を出さない
1回の取引で許容する損失額を決めておく
損切りラインを事前に設定する
成行注文そのものを避けるというよりも、自身が守れる範囲の条件に落とし込んでおく考え方が、一つのアプローチとして検討できます。
全ての取引を指値に限定するような厳しすぎるルールを設けても、相場が急に動いて取引したい場面に見えたときには、取引者自身がそのルールを無視して成行注文を出し、結果として感情的な売買に戻ってしまうことも考えられます。
無理なく守れるルールを決め、繰り返し検証しながらルールを少しずつ調整していく作業が、成行注文による失敗を減らすことにつながると考えられます。

ここからは成行注文の危険性についてよくある質問に回答します。
成行注文そのものが危険というわけではなく、流動性が低い時間帯や急変動の局面で使うと不利になりやすいという理解が適切です。成行注文は約定スピードが速く、注文を執行しやすいため、損切りを迅速に行いたい場面などでは利用されることがあります。
許容スリッページを設定することで、想定より大きく不利な価格での約定を避けやすくなります。また、有利な価格で注文したい場合は指値注文を使う方法もあります。ただし、いずれの方法を使用しても高値掴みのリスクを完全になくせるわけではありません。
早朝や深夜は市場参加者が少なく流動性が低下するため、スプレッドが拡大し、わずかな注文でも価格が大きく動きやすくなります。この状態で成行注文を出すと、スプレッドとスリッページが重なって不利な価格で約定する可能性が高まるためです。
流動性が高く値動きが安定している時間帯や、損切りなど確実に約定させることを優先したい場面が向いていると一般的に考えられています。逆に、経済指標発表の前後や早朝・週明けなど、スプレッドが拡大しやすいタイミングは慎重な判断が必要です。
早朝などの流動性が低い時間帯、週明けのマーケットオープン時、年末年始やクリスマス時期、米雇用統計やFOMCなどの重要指標発表時、震災や金融危機などの相場急変時に拡大しやすいとされています。
成行注文は約定スピードと確実性に優れた基本的な注文方法です。
しかし、流動性が低下する早朝・夜間や週明けの窓開け、経済指標発表の前後、株式のストップ高・ストップ安といった局面では、スプレッド拡大とスリッページが重なり、想定より不利な価格で約定する危険度が高まります。
ただし、危険な時間帯を避ける、許容スリッページを設定する、指値注文と使い分ける、感情に流されないルールを持つといった対策を一つのアプローチとして組み合わせることで、リスクを軽減できる可能性があります。
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