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宇宙関連銘柄を調べる際は、宇宙事業を主力とする企業だけでなく、防衛や航空、通信などの事業を通じて宇宙産業に関わる企業も確認する必要があります。
宇宙関連銘柄の本命を絞り込みたいと考えても、どの企業から見ていけばよいか迷う場面は少なくありません。
本記事では、宇宙産業が注目される背景を整理したうえで、大型企業、インフラや部品を担う企業、宇宙ベンチャーという分類から、日本株と米国株の8社を取り上げます。あわせて、SpaceXのIPOやEU Space Actの動向、宇宙関連銘柄に投資する際のリスクについても解説します。
宇宙関連銘柄が本命として注目される理由は、宇宙ビジネスが政府主導の研究開発から民間企業が収益を生む産業へと軸足を移しつつあり、投資対象としての裾野が広がっているからです。
実際、モルガン・スタンレーが2018年に公表したレポートSpace: Investing in the Final Frontierでは、当時約3,500億ドルとされた世界の宇宙産業の売上高が2040年に1兆ドル超へ拡大すると予測されています。
加えて、産業全体の追い風として次の要素が挙げられます。
日本国内においても宇宙産業の動きは活発であり、政府は第5次宇宙基本計画(令和5年6月)で、2020年に約4兆円だった国内宇宙産業の規模を2030年代早期に約8兆円へ倍増させる目標を掲げました。さらにJAXAに10年間で総額1兆円規模の宇宙戦略基金を設け、民間の技術開発を後押ししています。官民双方で投資が拡大していることが、日本の宇宙関連銘柄が中長期のテーマとして意識される土台になっていると考えられます。
また、2026年6月12日に高市政権では、宇宙開発戦略本部で宇宙基本計画の重点事項が決定され、宇宙分野は17の戦略分野の一つに位置づけられました。
具体的には以下への参画が掲げられています。
こうした国策を背景に、宇宙は高市銘柄の一角としても意識されています。
防衛省が民間企業連合と衛星コンステレーション整備の事業契約を結ぶなど、実用化に向けた動きも出始めており、関連する宇宙関連銘柄に関心が集まる一因となっています。

宇宙関連銘柄は値動きの傾向やリスクが分類によって大きく異なるため、本命となる銘柄を絞り込むには、企業を性質ごとに分類して考えるのが一つのアプローチとなります。
| 分類 | 特徴 | 注意点 |
| 安定性のある大型株や中核企業 | 防衛やエネルギーなどで業績が比較的安定 | 宇宙事業の比率は限定的 |
| インフラや部品を担う企業 | ロケットや機器の技術基盤を支える | 宇宙単体の収益が見えにくい |
| 宇宙ベンチャー | 宇宙専業で成長期待が大きい | 赤字が多く値動きも荒い |
分類に加えて、以下の4つのテーマ別に見ると各社の強みが把握しやすくなります。
分類とテーマを組み合わせることで、数ある宇宙関連銘柄の中から自分のリスク許容度に合った銘柄を絞り込みやすくなると考えられます。
日本の宇宙関連銘柄から本命を探す場合は、事業基盤の安定した大型株とテーマ性の高いベンチャーを併せて確認することで、性質の違いを把握しやすくなると考えられます。
ただし、いずれの分類でも損失を被るリスクは伴います。

三菱重工業は基幹ロケットH3を製造しており、国内の宇宙開発で中心的な役割を担う企業の一つです。
2026年3月期は受注高7兆6,536億円(前期比19.5%増)と過去最高水準を記録し、2026年8月4日に発表された2026年度第1四半期決算でも全社ベースで増収増益となりました。
その一方で、防衛・宇宙セグメントの受注高は前年同期に大型受注があった反動で、受注高、売上収益ともに前年同期を下回っています。
| 項目 | 2025年第一四半期 | 2026年第一四半期 |
| 受注高 | 2,918億円 | 516億円 |
| 売上収益 | 2,021億円 | 697億円 |
受注時期の偏りによる減少であり、既存工事の進捗自体は順調に推移しています。
航空・防衛・宇宙の2026年度通期見通しは、受注高が前回の1兆6,500億円から1兆7,500億円へ上方修正されました。
H3ロケットは2025年12月の8号機打ち上げ失敗後、2026年6月に飛行を再開しました。その後、2026年8月11日には9号機が「みちびき7号機」を搭載して打ち上げられ、成功しています。

IHIは航空エンジン事業を主力の一つとする総合重工業メーカーで、ロケットシステムや宇宙関連機器も手掛けており、H3ロケットの固体燃料ブースターなどに関わる技術力を強みとしている企業です。
2026年3月期は売上収益1兆6,434億円(前期比1.0%増)、営業利益1,655億円(同15.3%増)と増収増益でした。
2026年度の通期見通しは受注高と売上収益がいずれも100億円上方修正され、それぞれ1兆7,700億円、1兆8,400億円が見込まれています。
宇宙事業に限ると2026年度第1四半期の受注高と売上収益はいずれも前年同期を下回りましたが、通期では受注高、売上収益ともに前期を上回る計画です。
| 2025年第一四半期 | 2026年第一四半期 | 2025年度通期 | 2026年度通期 | |
| 受注高 | 97億円 | 43億円 | 313億円 | 400億円 |
| 売上収益 | 40億円 | 25億円 | 352億円 | 550億円 |
防衛・航空・宇宙の複合企業として業績の安定感がある一方、宇宙単体の比率は限定的であり、四半期単位では数値が大きく振れやすい点にも注意が必要です。

アストロスケールホールディングスは、スペースデブリ除去や軌道上サービスを手掛ける宇宙ベンチャーで、デブリ除去テーマの宇宙関連銘柄として知られている企業です。
2026年4月期の売上収益は59.4億円(前期比141.8%増)と伸びた一方、営業損失は99.75億円で、依然として赤字段階にあります。
受注高は84.4億円と前期の307.0億円から大幅に減少しましたが、これは前期に複数の大型案件の受注が重なった反動と、当期に見込まれていた大型案件の期ずれによるものとされています。
単年度の数値だけでは事業の勢いを判断しにくいため、受注残高の推移とあわせて確認する視点も一つのアプローチとして考えられます。
2026年4月には高市総理とフランスのマクロン大統領が同社を視察するなど、政策・外交面での注目も集めています。

ispaceは月面への輸送とその周辺サービスを手掛けており、月面探査をテーマとする宇宙関連銘柄の一つです。
2028年打上げ予定のMission3では三菱重工とH3ロケットの打上契約を結び、2029年予定のMission4は宇宙戦略基金から上限200億円の交付決定を受けました。
欧州宇宙機関との間では契約総額120億円規模のMAGPIEフェーズ2の締結も完了し、SpaceXのStarshipで500kgの搭載枠を確保しています。
その一方で2027年3月期第1四半期の営業損失が約63億円となっており、ランダーモデルの統合とエンジン変更に伴う約37億円の減損が売上原価に計上された影響が含まれます。
Mission2と米国のCLPS CP-12の売上が一巡し、Mission3以降の売上計上が本格化するまでの間に売上がいったん落ち込みやすい時期に入っている点も理由の一つです。
米国の宇宙関連銘柄は、宇宙事業を主力とする成長株から防衛大手まで選択肢が幅広く、市場規模と銘柄数で日本を上回ります。
そのため、宇宙関連銘柄の本命をアメリカ株から探す動きも見られます。

Rocket Lab(ロケットラボ)は小型ロケットのエレクトロンで打ち上げ実績を積み上げ、中型の再使用ロケット、ニュートロンを開発中の宇宙企業です。
2026年第2四半期は売上高が2億3,407万ドルと前年同期比62%増で過去最高を更新し、受注残高も23億6,000万ドルと同137%増となりました。
成長は衛星や部品などの宇宙システム側が牽引しています。
非GAAP売上総利益率(会計基準上の一時的な費用などを除いた利益率)は41.5%へ改善した一方、研究開発費の増加もあり純損失は4,926万ドルと赤字が続いており、収益機会と損失リスクの両面がある点に注意が必要です。
衛星通信大手イリジウムの買収で合意して垂直統合を進める方針を示したほか、2026年8月4日には米宇宙軍のSB-AMTIプログラムで3億9,700万ドルの契約を獲得し、ニュートロンでの打ち上げが計画されています。

Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)は、GPS III衛星やSBIRS(早期警戒衛星システム)などの早期警戒衛星、NASAの有人宇宙船オライオン、潜水艦発射弾道ミサイルのトライデントII D5、次世代迎撃機NGIなどを手掛ける総合防衛企業です。
2026年第2四半期は全社売上高が200億6,300万ドルで前年同期比11%増、受注残は2,300億ドルと過去最高を更新し、通期の売上高見通しも上方修正しました。
宇宙事業は売上高34億9,600万ドルで6%増となり、トライデントII D5とNGIの進捗が増収を牽引した他、受注残は397億ドル規模で推移しています。

Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)は、NASAの商業月輸送サービス(CLPS)を担う月面探査企業です。
2026年6月末にはNASAから月着陸ミッションを追加受注し、8月にはL3Harris経由でミサイル追尾に関わる宇宙機開発にも選定されました。
2026年第1四半期は、1月に完了した宇宙機メーカーのランテリス買収に加え、CLPS(NASAの商業月面輸送サービス)やOMES(NASAの軌道上サービス関連契約)などの既存契約の進捗により、売上高が1億8,670万ドルと前年同期の6,250万ドルからおよそ3倍に拡大し、受注残高は10億5,500万ドルへ積み上がっています。
通期見通しは売上高9億ドルから10億ドルとされていますが、Class A株主に帰属する純損失は3,754万ドルで赤字が続いています。

AST SpaceMobile(ASTスペースモバイル)は、通常のスマートフォンと衛星が直接通信する宇宙携帯通信網を構築する企業で、衛星通信テーマの宇宙関連銘柄に位置づけられます。
2026年第2四半期の売上高は3,150万ドルで、地上局設備の納入と米政府向け契約のマイルストーン達成が寄与し、前年同期の約116万ドルから大きく伸びました。
受注残高は商用パートナーと米政府案件を合わせて約13億ドルに増加し、通期の売上高見通しは1億5,000万ドルから2億ドルに据え置かれています。
事業面では、ブルーバード8号から13号までを50日間で打ち上げて、軌道上の衛星は13機となり、米国本土で設備の稼働を進めながら2026年中のベータサービス開始を目指しています。
日本では総務省のJ-LEO構想で楽天との合弁事業が予備的に選定され、最大約10億ドル規模の政府資本が見込まれています。
同社は世界で約60社の携帯通信事業者と提携する一方、第2四半期の純損失は2億3,091万ドルと赤字が続いています。
2026年6月に上場したSpaceX(スペースX)は、宇宙関連銘柄を語るうえで避けて通れない存在になりました。SpaceXの事業の柱は以下の3つです。
収益の中核を担うのはStarlinkであり、2025年の売上高114億ドルは全社の約61%に相当します。
上場時の企業価値は約1.77兆ドルと過去最大級の規模でしたが、上場後はIPO価格を下回る場面もあり、企業規模の大きさだけでなく、収益性やバリュエーションを分けて確認する必要があります。

2026年第2四半期の収益は78億ドルで売上が92%増加し、純損失は5億41万ドルとなりました。
損失の主な要因はStarship開発に伴う研究開発費の増加ですが、大型顧客向けの打ち上げが増加したことで収支は改善に向かっています。
規模の大きな企業でも損益は変動するため、他の宇宙関連銘柄を確認する際にも規模と収益性を分けて見る視点が参考になると考えられます。
SpaceX(スペースX)のIPOとは?時価総額予測と参加方法を解説
今後の本命候補として挙げた宇宙関連銘柄8社の株価や時価総額、事業内容を以下にまとめました。
宇宙関連株のおすすめを一律に示すことは難しいものの、規模と事業内容を並べて見ることで各社の位置づけを把握しやすくなります。
| 銘柄名とティッカー | 株価 | 時価総額 | 事業 |
| 三菱重工業 (7011) | 4,044円 | 13兆6,430億3,200万円 | H3ロケット製造 |
| IHI (7013) | 2,744.5円 | 2兆9,716億3,400万円 | ロケット部品 宇宙機器 |
| アストロスケール (186A) | 1,205円 | 1,708億4,600万円 | デブリ除去 軌道上サービス |
| ispace (9348) | 415円 | 607億1,900万円 | 民間月面探査 |
| Rocket Lab (RKLB) | 82.83ドル | 495億4,700万ドル | 小型ロケット打ち上げ |
| Lockheed Martin (LMT) | 587.95ドル | 1,356億9,300万ドル | 宇宙システム 衛星 |
| Intuitive Machines (LUNR) | 16.40ドル | 35億5,900万ドル | NASA向け月輸送 |
| AST SpaceMobile (ASTS) | 71.94ドル | 279億2,200万ドル | 衛星スマホ直接通信 |
なお、上記の株価と時価総額はいずれも2026年8月7日(現地時間)時点の数値であり、株価は日々変動します。
中長期の視点で宇宙関連銘柄の本命を考えるうえでは、規制の動向も見逃せません。ルールの整備が進むかどうかは、企業の事業環境を大きく左右するためです。
欧州委員会は2025年6月25日、EU域内の宇宙活動を統一的に規律するEU Space Act(宇宙法案)を提案しました。この法案は安全性、レジリエンス(強靱性)、持続可能性という三つの柱で構成されており、具体的には次のような内容が盛り込まれています。
提案後は2025年12月に理事会、2026年3月に欧州議会がそれぞれ修正案を提示しており、審議が続いています。この法案はEU域外の事業者にも影響が及ぶ域外適用の性格を持ち、EU市場でサービスを提供する非EU企業にもライセンスやデブリ低減計画の提出などが求められる可能性があります。
EUは宇宙分野を戦略産業と位置づけており、規制強化はデブリ除去や軌道上サービスを手掛ける企業にとって追い風になる一方、コンプライアンス負担の増加という側面もあると考えられます。
投資家にとっては、規制への対応力を確認する視点も判断材料の一つになると考えられます。

本命として挙げられる宇宙関連銘柄であっても、テーマ性が強く値動きが大きくなりやすいため、相応のリスクを理解したうえで検討することが望ましいと考えられます。
CBSニュースの報道によると、2026年5月28日から29日にかけては、米ブルーオリジンのニューグレンに関する試験中の事故が報じられ、宇宙関連株の一部が大きく変動する場面がありました。
AST SpaceMobileは一時18.5%安となり、6月上旬にはSpaceXのIPOを前に主要銘柄が平均9%下落する場面もありました。
宇宙事業を主力とする企業では、決算だけでなく、ミッションの成否や受注に関するニュースを材料として株価が大きく変動する場合があります。そのため、決算発表以外のタイミングでも株価の変動が大きくなる可能性があります。
また、宇宙ベンチャーには赤字企業も多く、研究開発や設備投資などの先行費用が収益化までの期間を長くする場合があります。売上高が増加していても利益が出ているとは限らないため、売上高の成長率と営業損益、純損益などを分けて確認することが重要です。
その理由は、衛星やロケットの開発に多額の先行投資を要し、初号機の実証から量産と受注の積み上げまで年単位の時間がかかることがあるからです。
SpaceXは2002年に設立され、2026年にIPOを実施しました。同社の事業拡大には長期間の研究開発や大型契約などが関わっており、宇宙関連事業では事業化までに時間を要する場合があります。
開発期間中は公募増資や転換社債による資金調達で1株当たりの価値が薄まる希薄化が生じる可能性があるほか、防衛や宇宙機関からの受注に依存する企業では予算の執行時期によって四半期ごとの売上が大きく上下することもあります。
技術リスクの例としては、H3ロケットが2025年12月に8号機の打ち上げに失敗し、飛行の再開までに6ヶ月かかりました。
ispaceの月面着陸ミッションについては、過去2度とも着陸に至っていません。
政策面でも、宇宙予算は各国の財政方針や政権交代の影響を受けるほか、EU Space Actのような規制強化が対応コストの増加につながる可能性があります。
ここからは宇宙関連銘柄に関するよくある質問に回答します。
宇宙関連銘柄には、防衛や航空など複数事業を展開する大型企業と、宇宙事業を主力とするベンチャー企業があります。安定性を重視するなら三菱重工業やLockheed Martin(ロッキード・マーティン)のような大型株、成長期待を重視するならispaceやRocket Labのような宇宙専業企業が候補として挙げられます。企業を比較する際は、宇宙事業の売上比率や利益状況、財務内容などを確認することが重要です。
株価が10倍になることを確約できるものではなく、下落する可能性も同時に存在します。宇宙株は1社のミッションの失敗がセクター全体に波及した例もあり、利益を得られる可能性がある一方で損失を被るリスクもあるため、余剰資金の範囲での検討が望ましいと考えられます。
宇宙関連株のおすすめを一律に示すことはできませんが、宇宙関連銘柄を大型株、インフラや部品を担う企業、宇宙ベンチャーという3分類で性質を把握し、衛星通信やロケット、地球観測、デブリ除去といったテーマで絞り込む方法があります。
宇宙事業が売上に占める比率と、赤字か黒字かを確認しておくと判断材料が増えると考えられます。
小型SAR衛星(電波で地表を観測する衛星)のQPSホールディングス(464A)とSynspective(290A)、小型光学衛星のアクセルスペースホールディングス(402A)などが東証グロース市場に上場しています。
3社は防衛省が2026年2月に契約した約2,831億円の衛星コンステレーションの整備・運営等事業に協力企業として参画しています。宇宙ベンチャー株は成長期待が大きい半面、赤字段階の企業が多く、損失を被るリスクも伴う点に注意が必要です。
2026年6月12日の宇宙開発戦略本部で宇宙分野が17の戦略分野の一つに位置づけられ、政策支援が意識されているためです。ただし政策期待はすでに株価に織り込まれている場合もあり、方針変更が逆風となる可能性も考えられます。
宇宙関連銘柄の本命は、市場が2040年に1兆ドル規模へ拡大するとの予測や、日本政府の8兆円目標、高市政権の政策支援といった追い風を背景に、投資家の関心を集めています。
もっとも、大型株、インフラや部品を担う企業、宇宙ベンチャーでは値動きや収益基盤の性質が異なります。
ボラティリティの高さや赤字企業の多さといったリスクを理解したうえで、宇宙関連株のおすすめを一つに絞り込むのではなく、複数の宇宙関連銘柄を分類ごとに比較しながら情報を更新していく姿勢が一つのアプローチとして考えられます。
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