中国 AI「deepseekショック」で株価が暴落！理由や従来のAIとの違いを解説 

「DeepSeekショックとは何？」「なぜDeepSeekのAIモデルでナスダックの株価が下落したの？」といった疑問を持っていませんか？ 

特にAI関連株に投資をしている人は、DeepSeekショックが起きた背景や今後どうなるのか気になるでしょう。 

本記事では、DeepSeekショックの概要や株価への影響について詳しく解説します。 

中国のAI「DeepSeekショック」とは？ 

DeepSeekショックとは、中国のAI開発企業DeepSeekが発表した高性能AIモデル「DeepSeek-R1」が、AI業界に大きな衝撃を与えた出来事です。この出来事は、AI技術の進化だけでなく、国際的な政治・経済にも影響を与える可能性があり、世界中で注目を集めています。 

DeepSeekショックの発端は、中国のAI開発企業DeepSeekが開発した大規模言語モデル「DeepSeek-R1」を発表したことです。DeepSeek-R1は、従来のAIモデルを遥かに凌駕する性能を持ちながら、圧倒的な低コストで開発できると発表されました。 

これまで、高性能AIの開発には莫大なコストと時間がかかっていましたが、従来の常識を根底から覆すこの発表は、世界中のAI研究者、開発者、投資家に衝撃を与えました。 

中国のDeepSeek の登場により、AI技術で一歩先を行っていたアメリカの築き上げてきた地位を揺るがす恐れがあるため、大きな波紋が広がりました。今後、AI技術の覇権を巡って米中間の競争が激化する可能性があります。 

DeepSeekショックが起きた背景  

DeepSeekショックが起きた背景は主に4つあります。 

1. 高性能AIを低コストで開発できることがわかった 

2. 国際安全保障上のリスク懸念 

3. 米中間のAI開発競争の激化 

4. OpenAIがDeepSeekを規約違反で訴えるのが困難 

それぞれの背景について詳しく見ていきましょう。 

1.高性能AIを低コストで開発できることがわかった 

1つ目の理由は、高性能AIを低コストで開発できることがわかった点です。これまで、最先端のAIモデルの開発には、莫大な資金と高度な専門知識、そして膨大な計算リソースが不可欠でした。 

しかし、DeepSeekについては、R1モデルの開発費が600万ドル（約9億円）未満であると発表されました。OpenAIのGPT-4やGoogleのGemini Ultraのようなモデルのトレーニング費用だけでも7800万ドルから1億9100万ドルかかっていたことを考えると、大幅に安い費用で開発されたことがわかります。 

また、莫大な費用がかからないとなった場合、これまで以上に多くの企業や研究機関がAI開発に参入できるようになるでしょう。 

2.国際安全保障上のリスク懸念 

2つ目の理由は、高性能AIの低コスト化がもたらす潜在的な国際安全保障上のリスクへの懸念です。DeepSeekの登場により、高性能AIを開発しやすくなりました。その結果、兵器システムの高度化や自律型兵器の開発、サイバー攻撃能力の向上など、軍事領域におけるAI応用の裾野を広げる可能性をはらむようになりました。 

特に、国際的な緊張が高まっている地域では、低コストの高性能AIが軍事バランスを崩壊させ、新たな紛争や不安定化を引き起こすリスクが高くなることが懸念されています。 

また、テロ組織や犯罪組織による悪用も懸念され、監視システムの構築や偽情報の拡散、自律的な攻撃ドローン制御などに利用される可能性も否定できません。 

投資家は、国際安全保障上のリスクが将来的にAI技術の規制強化や地政学的な不安定化を招き、AI関連企業の事業活動や収益に悪影響を与える可能性を懸念しているようです。 

3.米中間のAI開発競争の激化 

3つ目の理由は、米中間のAI開発競争の激化です。これまでAI開発で圧倒的な優位性を誇っていた米国でしたが、中国が低コストながらGPT-4に匹敵するDeepSeekを開発したことで、今後競争が激化する可能性があります。 

中国政府がAI開発を国家戦略として強力に推進している背景には、経済成長の牽引力としての期待に加え、米国の技術的支配からの自立を目指すという明確な意図が存在します。 

巨大な国内市場と豊富なデータを武器に、中国はAI分野での世界的なリーダーシップを確立しようとしており、DeepSeekの成功はその戦略が着実に進展している証といえるでしょう。 

一方で、米国にとっては単にAI市場のシェアを奪われる経済的な脅威だけでなく、将来の国際秩序における影響力低下の懸念にも繋がります。 

近年、米中間は政治的な対立が起きており、このことが、AI関連企業の収益性や市場シェアに悪影響を与える可能性は十分あるでしょう。 

4.OpenAIがDeepSeekを規約違反で訴えるのが困難

4つ目の理由は、OpenAIがDeepSeekを規約違反で訴えるのが困難である点です。実は、DeepSeekにはOpenAIが開発したChatGPTの出力を許可なく学習に使う盗用疑惑があります。 

OpenAIの利用規約では、ChatGPTの出力を別のAIモデルの学習に使うことは明確に禁止されています。もし、DeepSeekが本当にChatGPTの出力データを学習に使用している場合、規約違反となる可能性が高いです。 

しかし、DeepSeekは中国企業であるため、アメリカの規約に基づいて裁判を起こしても、実際に罰則を与えるのは難しいのが現状です。 

一方で、AIによって生成されたテキストや画像には著作権が認められにくいという国際的な認識が広まっており、学習データの出所が問われにくい状況にあります。実際、多くのAI企業が著作権的にグレーなデータも含めて学習に使用しているのではないかという疑惑が常に存在し、OpenAI自身も同様の訴訟リスクを抱えています。 

このような状況下では、OpenAIがDeepSeekを訴えることは法的なハードルが高く、現状では有効な対抗策を見出すのは難しいでしょう。 

DeepSeekショックが株式市場に与えた影響  

DeepSeekの高性能AIモデルの発表が報道されたことは、米国や日本の株式市場に大きな影響を与えました。 

1. 米国株式市場への影響 

2. 日経平均株価への影響 

株価がどうなったのか詳しく見ていきましょう。 

1.米国株式市場への影響 

DeepSeek-R1の登場は、特にAI関連のハイテク株に大きな影響を与え、株式市場に動揺を引き起こしました。その理由は、投資家がDeepSeek-R1の性能とコスト効率の高さに警戒感を抱き、既存のAI関連企業の将来性に疑問を持ち始めたからです。 

例えば、半導体株として時価総額が高いエヌビディアの株価は、1月24日の終値142ドル台から27日には17%安の118ドル台まで暴落しました。 

その理由は、投資家がDeepSeek-R1がNVIDIAの半導体需要を減少させる可能性や、AIチップ市場における競争激化への懸念を抱いたためです。結局、NVIDIAの時価総額は91兆円も消失しました。 

また、アルファベット（4%安）やブロードコム（17%安）といった他のAI関連株についても軒並み下落する展開となりました。ハイテク株の割合が多いナスダック総合株価指数も前日終値の21,766ドル台から1,000ドル以上暴落しました。 

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2.日経平均株価への影響

DeepSeekショックは、翌日である1月28日の日経平均株価にも大きな影響を与えています。2025年1月28日の日経平均株価は、前日の米国市場における半導体関連株の急落を受け、午前終値で前日比0.6％安の3万9340円15銭と下落しました。 

下落の背景は、米国の投資家と同じようにDeepSeekが発表した高性能AIモデルが、優位性を誇っていた米国企業の地位を脅かすとの見方が広まったためです。 

また、米国市場でエヌビディアをはじめとする半導体関連株が大幅に下落した流れを受け、東京市場でもアドバンテストや東京エレクトロンといった値がさの半導体関連銘柄が軒並み安となり、日経平均株価を押し下げる要因となりました。 

ただし、全てのセクターが値下がりしたわけではありません。銀行や不動産など内需関連株には買いが入る動きもありました。これは、大きく下落したハイテク銘柄とは相対的に内需関連の株には安心感が広がったためとされています。 

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DeepSeekショック後の株価はどうなった？その後の値動きを解説 

DeepSeekショックにより半導体株やAI関連株、ハイテク株は大きく下落しました。その後、エヌビディアやナスダックの株価はどのように推移しているかを解説します。 

エヌビディアの値動き 

エヌビディアの株価は、ディープシークショック以降113ドル前後まで下げましたが、2月に入ると上昇に転じてほぼディープシークショック前の価格まで戻します。 

しかし、その後は下落が続き、2025年4月初旬には一時90ドル台を割れました。既に下落トレンドに入っているため、今後一時的に上昇しても長続きしない可能性があります。 

ナスダックの値動き

ナスダックは、ディープシークショック後から徐々に回復し、2月中旬にはディープシークショックが起きる前の高値を更新しました。 

しかし、その後は大きく下落し、4月初旬には17,000ドル台を割れました。トランプ関税に左右される相場環境が続いており、今後もAI関連以外のニュースで下落する可能性があります。 

DeepSeekショックの余波は今後も続く可能性がある 

中国DeepSeek社の高性能AI発表は、米国のAI優位性への懸念を高め、ナスダックAI関連株を一時的に下落させる「DeepSeekショック」を引き起こしました。 

この出来事は、AI開発競争の激化と、米国企業の長期的な競争力低下の可能性を示唆しています。AI分野は成長が期待される一方、米中間での技術競争や地政学リスクにも注意が必要です。 

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