注目の市場： ナスダックは主要データ発表を控えて上昇

今週は、市場の方向性に影響を与える可能性のあるいくつかの経済指標の発表がある。木曜日はオーストラリアの雇用統計、英国のGDP、米国のPPI、小売売上高、失業保険申請件数などの主要な経済指標が注目される。金曜日には、米国の消費者心理とインフレ期待が発表される。

一方、ナスダック100は、強気のテクニカル的設定と予想を下回る米インフレ率に支えられ、4月の安値からの力強い回復を続けている。4月のコアCPIは0.2％の上昇にとどまり、FRBへの圧力を緩和し、市場心理を押し上げた。関税の影響はまだ弱く、米中貿易休戦協定が結ばれているため、トレーダーは今後のデータと抵抗線に警戒しているが、上昇の勢いは続いている。

影響の大きい経済イベント

木曜日 4:30 (GMT+3) – オーストラリア: 雇用変化 (AUD)

木曜日 9:00 (GMT+3) – 英国: GDP 前月比 (GBP)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: PPI 前月比 (USD)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: 小売売上 前月比 (USD)

木曜日 15:30 (GMT+3) – 米国: 失業保険申請件数 (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者態度指数 (USD)

金曜日 17:00 (GMT+3) – 米国: ミシガン大学消費者信頼感指数（インフレ期待値） (USD)

チャート分析

4月7日に16,313.88で底を打って以来、ナスダック100は顕著な回復を遂げた。最初の反発は長い陽線ローソク足の出現で示され、その後の安値17,588.02が直近安値を上回ったまま、価格が直近高値の19,231.50を上抜いた典型的なボトムフェイラースイングパターンが続いた。このブレイクアウトは強気の構造転換を示し、さらなる上昇への扉を開いた。

20日指数平滑移動平均線（EMA）が50日EMAを上回り、中期的なモメンタムが変化する可能性を示すシグナルとして広く支持されている「ゴールデンクロス」が形成され、テクニカル面が裏付けられた。

この強気見通しを裏付けるインジケーターはさらに強気である。モメンタムオシレーターは100を上回って推移し、上昇圧力の持続を示唆しており、相対力指数（RSI）は50を上回って推移し、市場の強気バイアスが優勢であることを示している。

主要な抵抗線

買い手が市場の主導権を維持する場合、トレーダーは以下の4つの抵抗線に焦点を移す可能性がある：

21,890.65: 最初の抵抗線は、19,231.50から17,588.02までに引いたフィボナッチ・エクステンションの261.8%に相当する21,890.65と予想される。

22,244.49: 2つ目の価格目標は、2月18日の高値に相当する22,244.49である。

23,534.13: 3つ目の上方目標は23,534.13にある。

24,549.80: 追加の上値目標は、19,231.50から17,588.02までに引いたフィボナッチ・エクステンションの423.6%を反映する24,549.80と定義される。

主要な支持線

売り手が相場を支配する場合、トレーダーは以下の4つの主要な支持線に注目する可能性がある：

20,178.84: 最初の支持線は、5月2日の高値を表す20,178.84にある。

19,231.50: 2つ目の支持線は、4月9日のスイング高値と一致する19,231.50に位置している。

17,588.02: 3つ目の下値目標は、4月21日に形成された安値に相当する17,588.02である。

16,313.88: 追加の下降目標は、4月7日にマークされた安値を反映する16,313.88と定義される。

ファンダメンタル

消費者物価指数（CPI）は3月の0.1％の低下に続き、4月は0.2％上昇した。前年同月比では、インフレ率は2.3%にやや鈍化し、2021年2月以来の小幅な上昇となった。

前の月と比べて上昇した主な原因は住居費であり、0.3%上昇し、上昇幅の半分以上を占めた。エネルギー価格は0.7％上昇し、天然ガスと電気料金の上昇がガソリン価格の下落を上回った。食料品価格は0.1％下落した。これは、外食費が高騰したにもかかわらず、食料品価格が下落したためである。

4月のコア・インフレ率（食品とエネルギーを除く）も0.2％上昇した。医療、教育、自動車保険などは上昇したが、航空運賃、中古車、衣料品などは下落した。

過去12か月間のコアCPIは2.8％上昇し、エネルギー価格は3.7％下落、食品価格は2.8％上昇した。

Bloombergによると、関税引き上げによる短期的な影響は限定的で、アパレルや新車のような関税の影響を受けやすい商品の価格上昇は穏やかである。企業は追加されたコストの一部を吸収しているようであり、旅行やレクリエーションなどの裁量項目への個人消費は軟化の兆しを見せている。

一時的な米中貿易休戦は当面の懸念を和らげるのに役立ったが、エコノミストは、関税撤廃前の在庫が枯渇すればインフレ率が上昇する可能性があると警告している。一方、住居費は引き続きインフレ全体を牽引している。

市場はポジティブに反応し、株式は上昇、債券利回りは低下、連邦準備制度理事会（FRB）の今年後半の利下げ期待は高まった。

結論

経済カレンダーの予定が重なり、主要インフレデータが物価上昇圧力の緩和を示唆するなか、市場は重要な局面を迎えている。ナスダック100の力強いテクニカル的な回復は、予想を下回る消費者物価指 数（CPI）の数字と関税の影響が軽微であることと相まって、慎重な強気見通しを支えている。しかし、今後発表されるデータ、特に米小売売上高、PPI、消費者心理は、このモメンタムを確認する、あるいはトレンド転換を示唆する上で極めて重要である。トレーダーは今後数日間、マクロ関連の発表と主要なテクニカル水準の両方に注意を払う必要がある。