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生成AIの普及を背景に、半導体株の今後や株価の動向に関心が集まっています。
世界半導体市場統計(WSTS)は2026年6月2日発表の2026年春季予測で、2026年・2027年ともに市場が拡大するとの見通しを示しました。
本記事では、半導体株の今後の見通し、株価が上昇している理由、日本を代表する注目11銘柄、投資する際のリスクを初心者にも分かりやすく解説します。
半導体株の今後を考えるうえでは、市場全体がどの方向に向かっているのかを把握しておくと判断の材料が増えます。ここでは、業界団体による市場規模の予測、成長を支えているAIデータセンター投資の状況、そして中長期で意識しておきたい景気循環の3つの観点からみていきます。
半導体株の今後を考えるうえで、まず市場全体の規模がどう推移するのかを押さえておくと理解が深まります。
世界半導体市場統計(WSTS)が2026年6月2日に発表した2026年春季半導体市場予測によると、2026年の世界半導体市場は前年比89.9%増の1兆5,112億ドルに達する見通しであり、1987年以降では最大の前年比増加率です。
さらに2027年については前年比26.6%増の1兆9,137億ドルへと拡大が続くと予測されています。
2025年の市場規模が前年比26.2%増の7,956億ドルだったことを踏まえると、2026年はほぼ倍増する急成長が見込まれています。
市場全体が拡大局面にあることは、半導体関連企業の業績にとって追い風になる可能性があると考えられます。
半導体市場の急拡大を支えているのが、AI(人工知能)向けのデータセンター投資です。
WSTSの予測では、2026年のメモリ市場が前年比249.5%増の8,039億ドルと大幅に伸び、市場拡大の最大要因になると見込まれています。
メモリとは、データを一時的または長期的に記憶する半導体のことで、AIサーバーではHBM(複数のチップを重ねて高速化した広帯域メモリ)や大容量DRAMが大量に使われます。
加えて、GPU(画像処理半導体)を中心としたロジックIC(演算や制御を担う半導体)も前年比37.3%増と高い成長が予想されました。
米テック大手によるAI向けデータセンターへの投資競争が続いており、AIサーバー向けの需要が市場全体を押し上げる構造になっていると考えられます。
その一方で、スマートフォンなど個人向け電子機器の需要は低調に推移すると予測されており、けん引役はデータセンター向けに集中しています。
2026年の半導体産業は好調ですが、半導体業界には、おおむね3〜4年周期で好況と不況を繰り返すシリコンサイクルと呼ばれる景気循環が存在します。

半導体株の上昇要因は、以下の3つがあります。
それぞれの要因を順番にみていきましょう。
半導体株を取り巻く上昇要因の一つとして、生成AIの普及による需要拡大が挙げられます。
生成AIは大量のデータを高速に処理・保存する必要があるため、GPUやHBM、大容量のストレージなど、高性能な半導体を大量に必要とします。
日本経済新聞は2026年4月30日11時51分配信のニュースで、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット、メタの4社が2026年の設備投資を7,250億ドル(約116兆円)と前年から76%増やすと報じており、その多くが生成AI向けです。
こうした投資が先端半導体と半導体製造装置の需要に直結しており、関連企業の業績見通しの上方修正につながっていると考えられます。
半導体関連株の上昇要因の一つとして、メモリ価格の上昇が挙げられます。価格上昇によってメーカーの業績が大きく押し上げられています。
調査会社TrendForceは2026年3月31日、第2四半期のメモリ契約価格について、従来型DRAMが前四半期比58〜63%、NAND型フラッシュメモリ(電源を切ってもデータが消えない記憶用半導体)が同70〜75%上昇すると予測しました。
なお、同年7月7日には第3四半期の上昇率がDRAMで13〜18%、NANDで10〜15%へと鈍化すると予測しており、上昇ペースには変化の兆しも見られます。
こうした価格上昇の背景には、AIサーバー向け需要の急拡大があります。
メーカー各社が利益率の高いサーバー向けやHBMに生産能力を集中させ、PCやスマートフォン向けの供給を絞り込んでいる構図です。
加えて、2023〜2024年の供給過剰期に各社が生産を抑制した反動で、すぐに増産できる余力が限られていることも価格を押し上げる要因となっています。
各国政府が半導体を経済安全保障上の重点分野と位置づけ、産業支援を強化していることも、半導体業界全体の追い風になっています。
日本では、先端半導体の国産化を目指すRapidus(ラピダス)に対し、政府が2026年度の研究開発費として6,315億円を追加支援することを決め、支援総額は累計で2兆3,540億円に拡大しました。
Rapidusは北海道千歳市の工場で回路線幅2ナノメートル世代の先端半導体の量産を2027年度後半に目指しています。
また、台湾のTSMCが熊本県に展開する子会社JASMは、第1工場が2026年1〜3月期に量産開始以来初めて四半期ベースの最終黒字(純利益約47億円)を計上し、第2工場の建設も進んでいます。(出典:TSMC熊本工場、初の最終黒字 26年1〜3月期)
日本政府はTSMCの第1・第2工場に合計最大約1兆2,080億円を補助する方針とされ、政府は国内の半導体製造売上高を2022年の6兆円から2040年に40兆円へ引き上げる目標を掲げました。
こうした国内投資の動きは、装置・材料メーカーなど関連企業への波及効果が期待されています。

ここでは、半導体関連分野で事業を展開する代表的な11社を、事業内容や特徴とともに紹介します。
| 会社名 (証券コード) | 株価※ | 事業や特徴 |
| キオクシアホールディングス(285A) | 56,010円 | NAND型を世界で初発明 3次元BiCS FLASHが主力 四日市・北上で量産 |
| 東京エレクトロン (8035) | 62,660円 | 商社から装置大手に転身 複数の前工程に製造装置を展開 EUV向けコータで世界100% |
| アドバンテスト (6857) | 28,945円 | SoCテスタで世界6割弱のシェア 計測器ベンチャーが源流 HBM・AIテストが追い風 |
| レーザーテック (6920) | 43,170円 | EUVマスク検査で高いシェア 光応用技術が核 高収益・受注生産型 |
| ディスコ (6146) | 60,890円 | 砥石屋から世界トップへ 切る・削る・磨くに特化 消耗品による継続的な収益も特徴 |
| SCREENホールディングス (7735) | 15,850円 | 洗浄装置で世界トップ級 印刷製版が源流 300mm先行投資で寡占 |
| 信越化学工業 (4063) | 6,702円 | シリコンウエハーで世界シェアトップ 塩ビと半導体の2本柱 リソ素材を横断保有 |
| SUMCO (3436) | 3,623円 | ウエハー専業で世界シェア2位 住金・三菱系が統合 台湾・TSMC向けが最大 |
| 東京応化工業 (4186) | 10,050円 | フォトレジストで世界シェア首位 国産化を切り開いた専業 EUV向けレジストに強み |
| ルネサスエレクトロニクス (6723) | 3,928円 | NEC・日立・三菱が源流 車載マイコンで世界首位級 M&Aでアナログ多角化 |
| イビデン (4062) | 17,370円 | ICパッケージ基板で世界首位 水力発電会社が源流 電子事業に約5,000億円規模の投資を計画 |
※2026年7月24日終値時点の株価
株価は変動するため、最新の株価は各証券会社や金融情報サービスなどでご確認ください。
なお、以下で紹介する企業は市場で話題になりやすい一例であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。業績や株価はいずれも過去のデータであり、将来の成果を約束するものではありません。

出典:Yahoo!ファイナンス
キオクシアホールディングスは、東芝のメモリ事業から独立したNAND型フラッシュメモリの専業メーカーで、サムスン電子、SKハイニックスに次ぐ世界第3位のシェアを獲得しています。
AIデータセンター向けの大容量SSD需要の拡大を背景に、2026年3月期は売上収益が前期比37%増の2兆3,376億円、純利益が同約2倍の5,544億円と、2年連続で過去最高を更新しました。株式時価総額は上場から約1年半で約30倍となっています。
その一方で、株価の値動きが大きい点には注意が必要です。
実際に中間決算が市場予想を下回った翌日にストップ安となるなど、短期間で大きく株価が変動することがあります。
また、キオクシアの株価は2026年6月23日に111,500円の高値を付けましたが、約1カ月で56,010円まで下落しており、短期間で価格変動が顕著となった局面もありました。

出典:YAHOO!ファイナンス
東京エレクトロンは、半導体の前工程(シリコンウエハに電子回路を形成する工程)で使われる製造装置の大手で、ASML、アプライドマテリアルズに次ぐ世界3位の半導体製造装置メーカーです。
特に、ウエハに薬液を塗布・現像するコータ/デベロッパ(塗布・現像装置)では世界シェアが9割を超えています。
2026年3月期は売上高2兆4,435億円(前期比0.5%増)と過去最高を更新し、2027年3月期はAIサーバー向け需要を背景に半期ベースで過去最高の業績を計画しています。

出典:YAHOO!ファイナンス
アドバンテストは、半導体が設計通りに動くかを調べる検査装置(テスタ)の世界最大手で、SoCテスタで高いシェアを持ちます。
2026年3月期は売上高1兆1,286億円(前期比44.7%増)、営業利益4,991億円(同118.8%増)といずれも過去最高を更新しました。
AI向けの高性能半導体(HPC)やHBMの検査需要が急増したことが主因で、2027年3月期も売上高1兆4,200億円と大幅な増収増益を見込んでいます。
出典:YAHOO!ファイナンス
レーザーテックは、EUV(極端紫外線)露光に使うフォトマスクの欠陥を検査する装置で世界シェアがほぼ100%の企業です。
EUVとは、最先端半導体の微細な回路を描くための露光技術のことです。
2026年6月期第三四半期の決算は、売上高が前年同期比0.4%増の1,695億円でした。
半導体関連装置の売上高が1,246億6,400万円と前年同期比で6.7%減少したものの、サービス売上が420億6,300万円と35.5%も増加しました。
今後は、2nm以降の先端半導体投資が本格化する局面での成長が期待されています。
出典:YAHOO!ファイナンス
SCREENホールディングスは、半導体の洗浄装置で世界トップクラスのシェアを持つ製造装置メーカーです。
微細化が進むほど製造工程での洗浄の重要性が高まるため、AIや先端半導体の需要拡大が追い風となります。
2026年3月期は売上高6,057億円と前期の過去最高から減収減益となりましたが、2027年3月期は営業利益1,565億円と2期ぶりに過去最高益の更新を見込んでいます。
出典:YAHOO!ファイナンス
ルネサスエレクトロニクスは、自動車や産業機器を制御するマイコン(マイクロコントローラー)に強みを持つ半導体大手です。
車載マイコンでは世界トップ級の地位にあり、近年は独インフィニオンと首位を争っています。
2025年12月期はNon-GAAP営業利益率29.3%と高い収益性を維持したものの、協業先の米ウルフスピード向け資産の評価損などにより、最終損益は517億円の赤字に転落。
しかし、2026年第1四半期業績は大幅に改善し、売上収益は3,803億円(23.2%増)、営業利益は906億円(320.7%増)となりました。特に自動車向け事業(10.6%増)や産業・インフラ・IoT向け事業(32.0%増)の売上増加が寄与しました。
出典:YAHOO!ファイナンス
イビデンは、AIサーバーのCPUやGPUに使われるICパッケージ基板で世界トップシェアを持つ企業です。
パッケージ基板とは、半導体チップと電子基板をつなぐ土台となる部品で、AIサーバーの性能を引き出すうえで重要な役割を果たしています。
2026年3月期は売上高4,162億円(前期比12.7%増)、営業利益620億円(同30.3%増)と大幅な増益を達成し、2027年3月期は営業利益900億円と45.1%増を見込んでいます。
同社は2026年度から2028年度にかけて電子事業へ総額約5,000億円規模の投資を計画していますが、過去に巨額の設備投資が市況変化で計画通りにいかなかった経緯もあるため業績に注意が必要です。
半導体株には成長への期待が集まる一方で、以下のような注意点もあると考えられます。
投資を検討する前に理解しておきたい3つの注意点をみていきましょう。
半導体株は成長期待が大きい一方で、価格変動(ボラティリティ)が大きくなりやすい点に注意が必要です。
半導体株は業績に先行して動きやすく、市場の期待値も高いため、決算が予想をわずかでも下回ると失望売りを浴びて急落することがあります。
好業績銘柄であっても決算が悪ければ、短期間で大きく下落するリスクがあります。
半導体はサプライチェーンが世界に広がっているため、地政学リスクの影響を受けやすい分野です。
米中対立を背景とした半導体製造装置の輸出規制は、中国向け売上比率の高い企業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、台湾には世界最大のファウンドリ(半導体の受託製造企業)であるTSMCが集中しているため、台湾情勢の変化はサプライチェーン全体に波及するリスクとして意識されています。
こうした外部要因は、企業各社の取り組みだけでは対応が難しい面があると考えられます。
AIブームを背景に半導体株が大きく上昇した結果、株価が割高な水準にあるとの見方も出ています。
株価収益率(PER、株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標)などが高い水準にある銘柄は、成長期待がすでに株価に織り込まれているため、期待に届かない結果が出た場合の調整リスクも大きくなります。
こうしたなかで、高値圏で一度に多額の資金を投じるのではなく、購入のタイミングを複数回に分ける時間分散という考え方を、一つのアプローチとして検討可能です。
購入タイミングの分散は株式の取得価格を平準化する効果が期待でき、高値づかみのリスクを抑える方法の一つとされています。
半導体株の今後について、投資家が持つ疑問に回答します。
半導体株の上昇がいつまで続くかを正確に予測することは困難です。
WSTSは2026年・2027年ともに市場が拡大すると予測しており、AIデータセンター向け投資が継続すれば、関連企業の業績拡大が続くことが期待されます。
その一方で、半導体には3〜4年周期のシリコンサイクルがあり、需給バランスが崩れれば調整局面に入る可能性もあります。
半導体株が下落する主な要因は、シリコンサイクルによる需給の悪化、メモリ価格の下落、米中対立や輸出規制などの地政学リスク、大手IT企業のAI投資の減速、円高の進行などです。
特に、市場の期待が高い局面では、決算内容が期待をわずかに下回っただけでも失望売りにつながることがあります。
半導体株は業績に先行して動きやすいため、こうした複数の要因が重なると株価が大きく変動する可能性があります。
半導体関連企業に投資する方法には、個別銘柄の株式を購入する方法のほか、複数の関連銘柄を組み入れたETF(上場投資信託)を利用する方法があります。
例えば、東京証券取引所に上場する半導体関連銘柄の上位30社で構成される日経半導体株指数に連動するETFなどがあり、NISAの成長投資枠でも活用できるものがあります。
また、株式CFD(差金決済取引)を通じて、半導体関連企業の株価を対象に取引する方法もあります。株式CFDではレバレッジを利用した取引が可能ですが、その分、価格変動によって損失が拡大する可能性もあります。取引を行う際は、商品の仕組みやレバレッジに伴うリスクを十分に理解する必要があります。
半導体株の今後については、WSTSが2026年・2027年ともに市場拡大を予測しており、生成AIの普及とメモリ価格の上昇、各国政府の産業支援を背景に、中長期的な成長が期待されています。一方で、シリコンサイクルによる調整、地政学リスク、バリュエーションの過熱といったリスクも存在します。成長期待とリスクの双方を理解し、時間分散なども活用しながら、自身の判断で投資と向き合っていくことが大切だと考えられます。
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