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暗号資産担保ローンとは、ビットコイン(BTC)などの暗号資産を担保として差し入れ、暗号資産を売却せずに法定通貨やステーブルコインなどを借り入れる仕組みです。売却とは異なるため、借入時点では一般に譲渡益の実現を伴わない一方、担保価値の下落による強制清算や事業者の信用リスクを伴います。本記事では仕組み、金利の決まり方、日本と海外の違いを解説します。

暗号資産担保ローンとは、保有しているビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産を売却せずに担保として預け入れ、その評価額に応じて日本円や米ドルなどの法定通貨、あるいはステーブルコインを借り入れられる金融サービスです。
不動産担保ローンや証券担保ローンと基本的な考え方は同じで、担保となる資産が暗号資産に置き換わったものと考えると理解しやすいでしょう。
暗号資産担保ローンの特徴は、暗号資産を売却せず、担保として差し入れた状態で資金を借り入れられる点が特徴です。
手元資金が必要な場合、通常は保有する暗号資産を売却して現金化します。しかし含み益が出ていれば利益が確定して課税対象となり、その後の値上がり益を得る機会も手放すことになります。
反対に含み損を抱えていれば、売却によって損失がそのまま確定します。いずれの場合も売却をためらう要因になり得ます。
| 項目 | 売却して現金化 | 担保に差し入れて借入 |
| 保有 | 手放す必要がある | 手放さなくて良い |
| 含み益がある場合 | 利益が確定し課税対象 | 原則として課税されない |
| 含み損がある場合 | 損失が確定 | 損失を確定しなくて良い |
このように暗号資産担保ローンは、保有を続けたまま手元資金を用意する選択肢として位置づけられます。値上がりを期待して長期保有したい人が、保有を続けながら手元資金を確保する手段として注目されています。
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暗号資産担保ローンでは、LTV(担保掛目)という指標が借入の条件を左右します。
LTVとは、担保として預けた暗号資産の評価額に対して、どのくらいの割合まで借りられるかを示す指標です。
例えば、担保掛目が50%であれば、1,000万円分の暗号資産を預けた場合に借りられる金額は最大500万円までです。
暗号資産の担保評価額が下落すると、借入残高に対する担保の余力が小さくなり、LTVが上昇します。
この際、 LTVが一定水準を超えると、追加担保や一部返済を求める通知が行われる場合があります。通知を設けず、一定の基準に達すると自動的または事業者の判断で清算されるサービスもあるため、契約条件の確認が必要です。
追加担保や一部返済によって担保の割合を回復できない場合、借り手の意思とは関係なく事業者が担保の暗号資産の一部または全部を処分して残債務の返済に充てる強制清算(ロスカット)を実施します。
実際にFintertechのデジタルアセット担保ローンでは、担保暗号資産の評価額が一定の割合(150%、140%、120%)に達した場合に追加担保の検討を促す自動メールが送られ、基準以下まで低下すると同社の裁量で担保が処分される仕組みが公表されています。
なお、LTVではなく担保率という指標を使用する事業者もあります。担保率とは借入額に対して担保の評価額が何%あるかを示す指標で、LTVの50%は担保率の200%と同じ意味になります。
日本国内で暗号資産を担保に日本円を貸し付ける事業者は限られています。その要因の一つは、法定通貨の貸付には貸金業法に基づく登録が必要になるためです。
代表的な事業者を挙げるとFintertech(フィンターテック)株式会社と汐留トラスト株式会社の2社があります。
Fintertech(フィンターテック)株式会社は株式会社大和証券グループ本社が80%、株式会社クレディセゾンが20%を出資する合弁会社で、デジタルアセット担保ローンを提供しています。
| 会社名 | Fintertech株式会社 |
| 担保となる暗号資産 | BTC、ETH |
| 担保掛目 | 50% |
| 借入利率 | 実質年率4.0%〜8.0% |
| 融資額 | 個人・法人ともに500万円以上、最大5億円まで |
| 契約期間 | 1年(ロールオーバー可能) |
| 返済方式 | 元利一括返済方式 |
個人向けは総量規制の対象で、極度額の上限は年収の3分の1に制限されるので注意が必要です(不動産購入目的を除く)。
また、Fintertechでは暗号資産を担保に、不動産の購入資金やつなぎ資金、手付金などの用途に対応するローンも提供しています。
汐留トラスト株式会社は、法人・個人事業主向けにビットコインを担保とした暗号資産担保ローンを提供しています。
| 会社名 | 汐留トラスト株式会社 |
| 担保となる暗号資産 | BTC |
| 担保掛目 | 記載なし |
| 借入利率 | 年率6.00%〜15.00% |
| 融資額 | 個人・法人ともに500万円以上、最大5億円まで |
| 契約期間 | 1ヶ月から96ヶ月 |
| 返済方式 | 元利均等返済方式 元金分割返済方式 元金一括返済方式 |
首都圏を対象に最短3日で融資が可能です。必要に応じて、グループの公認会計士や税理士に相談することもできるとされています。
なお、他にもSBIグループのSBI Crypto Poolが暗号資産担保ローン(マイナーローン等)を提供していますが、マイニング事業者向けの商品となっています。

暗号資産担保ローンは海外のほうが選択肢が広がります。大きく分けると以下の2つがあります。
| CeFi(中央集権型金融)系のレンディング事業者 | 企業が運営し暗号資産を預かって管理する |
| DeFi(分散型金融)のレンディングプロトコル | スマートコントラクトで自動的に貸し借りを行う |
CeFi系の具体例としてNexoがあります。
Nexoでは担保に対応する暗号資産が100銘柄を超えており、借入額は最小50ドルから最大200万ドル、BTC・ETHの最大LTVは50%、ステーブルコインは90%、NEXOトークンは15%、金利は年1.9%(LTV比率が20%以下のプラチナティアの場合)から利用可能です。
また、LednのようにBTCのみを担保とし、最大LTV50%、固定期間のローンを提供する事業者もあります。
DeFiで暗号資産を担保にした借り入れに対応しているのはAaveやCompoundといったプロトコルです。金利は担保や需給に応じて変動しますが、一般的にCeFiより低めに設定される傾向があります。ただしCeFiと同様に担保価値が一定水準を下回ると自動的に清算されるので注意が必要です。
事業者を比較する際は、担保を処分しても返済が不足した場合の扱いも確認しておきたい点です。
契約によっては、担保を処分しても借入残高を完済できず、不足分について返済義務が残る場合があります。一方、ノンリコース型では、一定の条件のもとで担保の処分によって返済義務が終了する仕組みもあります。
また、近年では米国のMiloのように、暗号資産を担保に頭金なしで住宅を購入できるローンを提供する事業者も登場しています。

暗号資産担保ローンの金利を左右する主な要素として、次の3つが挙げられます。
同じ事業者でもLTVを低く抑えるほど金利が低くなる傾向があり、逆に上限近くまで借りると金利や清算リスクが高くなりやすくなります。
次に価格変動が相対的に小さいとされるステーブルコインは高いLTVと低い金利になりやすく、変動の大きいアルトコインは条件が厳しくなる傾向があります。
加えて、市場の需給や市場金利も金利水準を左右する要因の一つとされています。特にDeFiでは資金の利用率(借り手の多さ)に応じて金利が変動します。
海外CeFiは事業者や階層によって幅が大きく、DeFiのステーブルコイン借入金利はおおむね一桁台前半で推移する傾向がありますが、利用率が高まると上昇します。
暗号資産の担保に使われやすい銘柄はBTCやETH
暗号資産担保ローンの担保として受け入れられやすいのは、時価総額が大きく流動性の高い銘柄であるBTCやETHなどです。
強制清算の際には事業者が担保を市場で処分することが前提となるため、まとまった数量を売却しても価格が大きく滑りにくいこと、価格変動幅が相対的に小さいことが担保評価につながりやすいと考えられます。
反対に、時価総額が小さく値動きの大きい銘柄は、担保掛目が低めに設定されたり、そもそも担保の対象外とする傾向があります。
同じ銘柄でも事業者によって扱いが分かれることがあり、担保として認められるかどうかは各社の審査や運用方針に委ねられる点に注意が必要です。
なお、XRPについては、NexoやCoinbaseで担保としての取り扱いがあります。
特にCoinbaseは2026年2月18日にMorphoプロトコル(Base上)経由のオンチェーン貸付でXRP・ドージコイン(DOGE)・エイダコイン(ADA)・ライトコイン(LTC)を担保対象に追加しています。
暗号資産を担保に差し入れて資金を借りる行為は、売却して利益を確定する行為とは異なるため、借入時点では原則として課税されないと一般に考えられています。
日本では暗号資産の利益は原則として雑所得に区分され、他の所得と合算される総合課税の対象となり、住民税と合わせた税率は最大で約55%に達し得ます。
売却せずに資金を得られる点が、税務面で注目される理由の一つです。
ただし、担保に入れた後も課税と無縁というわけではありません。場面ごとの一般的な扱いは以下の通りです。
| 場面 | 課税の扱い |
| 担保を差し入れて借入 | 売却にあたらないため原則として課税されない |
| 借りた資金の受け取り | 借入金なので所得にはあたらない |
| 強制清算で担保が処分された | 譲渡とみなされ取得価額との差額に課税が生じる可能性 |
| 代物弁済(暗号資産で返済) | 同じく譲渡とみなされ課税が生じる可能性 |
| 利息の支払い | 事業や不動産所得のための借入なら必要経費に算入できる場合がある |
注意したいのは、強制清算のケースです。担保を失うだけでなく課税まで生じる形になるため、清算基準は事前に確認しておきたい点です。
なお個人の生活資金のための借入では、利息の経費性は認められないことが一般的です。取り扱いは個々の事情で異なるため、詳細は税理士などの専門家に相談することを検討できます。
税制については見直しの動きもあります。
令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、金融商品取引業者登録簿に登録された暗号資産等の譲渡益について、20%(所得税15%・個人住民税5%)の申告分離課税を適用し、損失は翌年以後3年内の繰越控除を認める方向が示されました。
暗号資産を金融商品取引法上の金融商品と位置づける法改正が前提となるため、適用開始時期は今後の審議次第で前後する可能性があります。
仮想通貨(暗号資産)の分離課税は2028年1月が濃厚!対象外の取引や税金を抑えるポイントを解説

暗号資産担保ローンには以下の3つのリスクがあります。
暗号資産は価格変動が大きく、短期間で担保評価額が下がると、追加担保が間に合わず担保を失う可能性があります。
清算のタイミングによっては、想定外の価格で処分され、課税まで生じるなど負担が重くなる点に注意が必要です。
業者によってLTV・担保率のどちらを清算の基準にしているかも異なります。
次に事業者の信用や破綻リスクについて、過去に海外のCeFi系レンディング事業者が経営破綻し、預けた資産が返還されない事態が起きています。
預けた暗号資産が事業者によって再運用(再担保、リハイポセケーション)される場合、事業者の破綻が利用者の資産に直接影響することもあるので注意が必要です。
さらに、海外の事業者を利用する場合は日本の規制が適用されません。投資家保護の有無も異なるので事前に確認する必要があります。
暗号資産担保ローンについて、レンディングとの違いや強制清算された後の扱い、担保にできる銘柄などを解説します。
借り手と貸し手の立場が逆になります。担保ローンは暗号資産を預けて資金を借りるサービス、レンディングは暗号資産を事業者に貸して利用料を受け取る運用サービスです。
仮想通貨のレンディングとは?メリット・デメリットや始め方を解説
担保の暗号資産が処分され、代金が残債務の返済に充てられます。国内で一般的なリコース型では、不足が残れば他の資産に請求が及ぶ可能性があります。処分は譲渡として扱われるため、課税が生じ得る点にも注意が必要です。
国内のFintertechと汐留トラストは現時点でXRPを担保対象としていないため、海外事業者が選択肢の中心になりやすい状況です。
事業者の規約によって異なります。預けた暗号資産は事業者が管理するため、付与される資産の帰属やステーキングの可否は契約条件次第となり、事前に約款を確認しておくことを検討できます。
事業者ごとに異なり、Fintertechは不動産購入資金やつなぎ融資などへの対応を示しています。ただし個人向けは総量規制の対象で、極度額は年収の3分の1が上限です(不動産購入目的を除く)。
どちらにも異なるリスクがあり、一方が優れていると断定できるものではありません。CeFiは事業者の経営破綻や再担保の影響を受ける可能性があり、DeFiは金利が低めになりやすい一方でスマートコントラクトの不具合や自動清算のリスクがあります。
金利の低さだけでは判断しにくい面があります。低金利の条件は低いLTVが前提になっている場合があり、借入可能額が小さくなることや、清算までの余裕が条件によって変わることも含めて比較する方法が、一つのアプローチとして考えられます。
暗号資産担保ローンは、BTCやETHなどを売却せずに担保として預け、日本円などを借り入れられるサービスです。
国内ではFintertechと汐留トラストが貸金業の枠組みで提供し、海外はCeFi・DeFiを含め選択肢が広く、XRPを担保にできる事業者も見られます。
ただし、借入時は原則非課税でも強制清算や代物弁済では課税が生じ得ることや担保価値が下落すると強制清算されるリスクについては注意が必要です。
利用を検討する場合は、条件を確認したうえで余剰資金の範囲にとどめるようにしましょう。
FXGTでは、取引商品に応じて異なるレバレッジが設定されています。最大レバレッジは5,000倍です。取引は各商品の規定に応じた金額や数量から行えます。