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資産形成を始める際、株式や債券など、どの資産にどの程度配分するか迷うことがあります。
こうした資産配分を考える際の参考情報の一つが、公的年金の積立金を運用するGPIFのポートフォリオです。
GPIFの基本ポートフォリオは、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産に25%ずつ配分する構成です(※実際の資産構成は市場変動などによって上下する)。2026年6月末時点で運用額は317兆7,596億円です。
国内株式ではトヨタ自動車など、外国株式ではマイクロソフトやエヌビディアなど、大型銘柄が保有銘柄の一覧は毎年公式サイトで開示されています。
本記事では、ポートフォリオの資産配分と保有銘柄上位の一覧、運用実績を確認したうえで、長期・分散・低コストという考え方を個人の資産形成におけるポートフォリオの作成に応用できるかを解説します。
用できるかを解説します。
GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金を長期・分散の考え方で運用する世界最大級の年金運用機関です。
正式名称は年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)で、厚生労働省が所管する独立行政法人で、基本情報は次の通りです。
| 項目 | 内容 |
| 正式名称 | 年金積立金管理運用独立行政法人 (Government Pension Investment Fund) |
| 組織形態 | 独立行政法人(厚生労働省所管) |
| 設立 | 2006年4月 |
| 前身 | 年金資金運用基金(2001年に市場運用を本格化) |
| 運用対象 | 厚生年金・国民年金の積立金 |
| 運用資産額 | 317兆7,596億円(2026年6月末時点) |
| 日本株時価総額に占める保有割合 | 5.75%(2026年3月末時点) |
| 運用の目的 | 長期的かつ安定的な年金財政への貢献 |
GPIFが注目される理由は、ポートフォリオの規模の大きさにあります。
運用資産は2026年6月末(2026年度第1四半期末)時点で317兆7,596億円にのぼり、市場運用を開始した2001年度以降の累積収益額は221兆201億円に達しました。
年単位の実績は年度ごとの集計が基準となるため、最新の年度実績は2025年度の収益率16.47%、収益額41兆3,995億円となります。
日本全体の株式時価総額は1,213兆円(2026年3月末)に対し、GPIFの保有割合は5.75%で、国内最大の株主です。 GPIFは巨額の資産を長期的に運用しているため、国内外の金融市場からも注目されています。
ただしGPIFの目的は利益の最大化ではなく、長期的かつ安定的に年金財政へ貢献することにある点が、一般的な投資ファンドとは異なります。

GPIFのポートフォリオを理解するうえで基本となるのが、資産全体の配分をあらかじめ定めた基本ポートフォリオです。
GPIFの基本ポートフォリオは、以下の4資産に25%ずつ配分する構成です。
株式と債券、国内資産と外国資産を組み合わせることで、特定の資産や地域に偏らないポートフォリオを構築しています。複数の資産に分散することで、ポートフォリオ全体のリスクを抑える「分散投資効果」が期待されます。
ただし、市場は日々変動するため、実際の資産配分が常にぴったり25%ずつになるわけではありません。
そこでGPIFは、基本ポートフォリオからの一定のズレを認める乖離許容幅を設けています。乖離許容幅と2026年6月末時点の実際の構成割合、同年度の売買動向をまとめると次の通りです。
| 資産区分 | 基本配分 | 乖離許容幅 | 資産額 |
| 国内債券 | 25% | ±6% | 81兆9,976億円 |
| 外国債券 | 25% | ±5% | 78兆7,980億円 |
| 国内株式 | 25% | ±6% | 78兆4,321億円 |
| 外国株式 | 25% | ±6% | 81兆1,454億円 |
| 債券合計と株式合計の割合 | 各50% | それぞれ±9% | – |
出典:GPIF
現行(第5期)の乖離許容幅は前期より狭く設定されており、2026年6月末時点の資産額も4資産が近い水準で並んでいます。
資産価格の変動などによって基本ポートフォリオから配分が乖離した場合には、資産の入れ替えなどを行い、基本ポートフォリオに沿うよう資産構成を調整します。
資産価格の変動などによって基本ポートフォリオからの乖離が大きくなった場合には、資産の売買などを通じて構成割合を調整します。その結果、株式比率が上昇した局面では株式を売却し、低下した局面では購入することがあります。
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2026年度第1四半期運用状況(速報)では、期間収益率が8.20%、期間収益額が24兆895億円となりました。2026年6月末時点の運用資産額は317兆7,596億円、2001年度の市場運用開始以降の累積収益額は221兆201億円です。
| 年度の収益率 | 16.47%(2025年度) |
| 年度の収益額 | 41兆3,995億円(2025年度) |
| 運用資産額 | 317兆7,596億円(2026年6月末) |
| 累積収益額 | 221兆201億円(2026年6月末) |
| 市場運用開始以降の平均収益率 | 年率4.95%(2026年6月末) |
| 名目の運用利回り(年平均) | 4.62%(2001年度以降25年間 |
| 実質的な運用利回り(年平均) | 4.33%(2001年度以降25年間) |
出典:GPIF
2025年度の収益額41兆3,995億円は、2023年度(45兆4,153億円)に次ぐ歴代2番目の大きさで、市場運用を開始した2001年度以降で初めて6年連続のプラスとなりました。資産別の内訳は次の通りです。
| 資産区分 | 2025年度の収益率 | 収益額 |
| 国内株式 | 34.62% | 20兆4,556億円 |
| 外国株式 | 27.16% | 16兆6,240億円 |
| 外国債券 | 12.33% | 8兆406億円 |
| 国内債券 | -5.11% | -3兆7,207億円 |
出典:GPIF
2025年度は、国内外の株価上昇や円安などが収益に影響したと考えられます。国内株式、外国株式、外国債券の収益で国内債券の下落分をカバーする結果となりました。
累積収益の大部分は2014年度以降に計上されています。2014年10月には基本ポートフォリオの株式比率が引き上げられており、こうした資産配分の変更も長期的な運用実績を考えるうえでの一つの要素です。
ただし、株式の比率を高めると、一般に価格変動の影響も受けやすくなります。短期的に損失が発生する年もあるので注意が必要です。
GPIFと同様に国内外の株式比率を高め、同じ保有銘柄に投資した場合でも、損失が発生するリスクは伴います。
GPIFは毎年7月ごろに、前年度末時点の保有銘柄を全て公式サイトで開示しています。最新の開示は2026年7月に公表された2025年度末(2026年3月末)時点の保有銘柄一覧で、上場株式を直接保有する国内株式の運用資産は69兆7,184億円、保有銘柄数は1,749社にのぼります。
日本株の保有銘柄上位には、時価総額の大きい企業が並びます。2025年度末時点の保有時価総額ベースの保有銘柄上位は次の通りです。
| 順位 | 銘柄名 | 業種 |
| 1位 | トヨタ自動車 | 輸送用機器 |
| 2位 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 銀行業 |
| 3位 | 日立製作所 | 電気機器 |
| 4位 | ソニーグループ | 電気機器 |
| 5位 | 三井住友フィナンシャルグループ | 銀行業 |
| 6位 | リクルートホールディングス | サービス業 |
| 7位 | 任天堂 | その他製品 |
| 8位 | キーエンス | 電気機器 |
| 9位 | 東京海上ホールディングス | 保険業 |
| 10位 | みずほフィナンシャルグループ | 銀行業 |
出典:GPIF
※2025年度末時点
GPIFの保有銘柄は自動車・電機・金融・エンターテインメントなど、幅広い業種に分散しています。
外国株式の保有銘柄も同時に開示されており、2025年度末時点では、マイクロソフト、アップル、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズといった米国の巨大IT企業が上位を占めている状況です。
こうした顔ぶれになるのは、株式運用の大半がインデックス運用(市場全体の値動きを示す指数に連動させる運用)で保有銘柄が指数の構成銘柄と重なるためです。
| 資産区分 | パッシブ運用(インデックス運用) | アクティブ運用 |
| 国内株式 | 93.98% | 6.02% |
| 外国株式 | 82.66% | 17.34% |
出典:GPIF
※いずれも2025年度末時点の数値です。
TOPIX(東証株価指数)やMSCI ACWI(世界株を対象とする指数)は時価総額加重のため、時価総額の大きい銘柄ほど保有額も大きくなります。
そのため、ポートフォリオに占める個別銘柄の比率も、指数の構成比率に近い水準になります。
保有銘柄の順位は株価の変動により、年度ごとに入れ替わることがあるので注意が必要です。
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GPIFの運用から、個人の資産形成を考える際の参考情報として捉えられる考え方には、次のようなものがあります。
長期投資の姿勢とは、短期的には損失の年もあるものの、投資期間を延ばすほど良い年と悪い年の成果が相殺され、長期では収益が積み上がってきたという実績に基づく考え方です。
分散投資は、値動きの異なる複数の資産や地域に分けて持つことで、ポートフォリオ全体のブレを抑える効果が期待できます。(ただし、分散しても損失が発生する可能性はあります。)
GPIFのように国内外の株式・債券に分散する資産配分を採用した投資信託もあります。こうした商品を検討する場合は、資産配分だけでなく、信託報酬やリスク、運用方針なども確認することが重要です。
低コストの運用については、GPIFが大半をインデックス運用で行っています。個人でも信託報酬の低いインデックスファンドを選ぶ方法は、長期の手数料負担を抑える一つのアプローチとして考えられます(ただし手数料の低さが運用成果を保証するものではありません)。
また、年に1回程度、ポートフォリオの資産配分が目標から大きくずれた際に元の割合へ戻すリバランスを実施することで、資産の偏りによる損失リスクの拡大を避けやすくなる効果を期待できるでしょう。(ただし、リバランスによって損失を防げるわけではありません。)
新NISAやiDeCoといった制度を利用する方法もあり、税制面を含めて長期・分散運用のコストを抑えやすくなる場合があります。ただし制度ごとに拠出限度額や引き出し条件が異なるため、内容を確認したうえでの検討が求められます。
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GPIFのポートフォリオをそのまま個人の資産運用に当てはめる場合、次の3点で前提が異なる部分があります
世界の株式市場全体の規模のうち日本株が占める割合は1割に満たない水準とされており、世界全体の構成を基準に考えると、GPIFのポートフォリオは国内資産に厚く配分しているという見方があります。
投資先が自国に偏りやすい傾向はホームカントリーバイアスと呼ばれ、この配分もその一例として説明されることがあります。
運用目的と投資期間の違いという点では、GPIFはあくまで年金財政に貢献するための超長期運用であり、個人の運用目的や投資期間とは前提が異なります。
GPIFは特定の期限までに資産を使い切る必要がなく、途中で評価額が下がっても運用を続けられますが、個人の場合は教育資金や住宅購入、退職後の生活費など、資金が必要になる時期が決まっているケースが多く、その時期に相場が下落していれば影響を受けやすくなります。
配分調整の余地については、個人が参考にする際に、自身のリスク許容度や運用目的に応じてポートフォリオの配分を見直す選択肢が残されています。
資産配分は、投資目的や資金を使う時期、価格変動に対する許容度などによって異なります。例えば、価格変動を抑えることを重視する場合には債券の比率を高める考え方がある一方、長期的な資産形成を目的とする場合には株式を含めた配分を検討する方法もあります。
いずれの資産配分を選ぶ場合でも、利益を得られる可能性がある一方で、損失を被るリスクもある点を踏まえた判断が求められます。
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ここではGPIFのポートフォリオの銘柄に関するよくある質問をまとめました。
GPIFは毎年7月ごろ、前年度末時点の全保有銘柄を公式サイトで開示しています。2026年7月には2025年度末(2026年3月末)時点で、国内株式と外国株式の一覧を発表しました。
2025年度末時点の日本株上位は、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日立製作所、ソニーグループなどです。外国株式ではマイクロソフト、アップル、エヌビディアといった米国の大型テクノロジー株が上位に並びます。
資産全体では、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式に25%ずつ配分する基本ポートフォリオが採用されています。株式運用は指数連動型が中心のため、個別銘柄の保有割合は原則として指数の構成比率に近い水準になります。
2025年度末時点で、国内株式の運用資産は69兆7,184億円、保有銘柄数は1,749社です。日本株全体の時価総額に占める割合は5.75%で、国内最大の株主とされています。
2025年度末時点で、国内株式の93.98%、外国株式の82.66%がパッシブ運用(インデックス運用)です。TOPIXやMSCI ACWIなど時価総額加重の指数に連動させるため、時価総額の大きい銘柄ほど保有額が大きくなります。
運用目標は、名目賃金上昇率を上回る実質的な運用利回り1.9%の確保です。2001年度以降25年間の実質的な運用利回りは年平均4.33%と目標を上回っていますが、年度によって成果は変動します。
日経新聞の報道によれば、GPIFは、2024年7〜9月期に運用成績が9兆1277億円のマイナスだったことがあります。また、2025年度はポートフォリオ全体でプラスの収益率となりましたが、資産別では国内債券が金利上昇を背景にマイナス5.11%となりました。
GPIFは公的年金の積立金を運用する世界最大級の機関投資家で、国内外の株式と債券に25%ずつ分散する基本ポートフォリオを採用しています。
国内株式ではトヨタ自動車など、外国株式ではマイクロソフトやエヌビディアなど、大型銘柄が上位を占めています。GPIFの株式運用はパッシブ運用が中心で、指数の構成銘柄を幅広く保有していることが特徴です。
長期・分散・コスト管理・リバランスといった考え方は、個人が資産配分を考える際の参考情報の一つになります。ただし、GPIFと個人では運用目的や資金需要などの前提が異なるため、同じ配分をそのまま適用できるとは限りません。高いリターンには高いリスクが伴い、資産配分は自身の状況に合わせて調整する余地があります。
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